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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
戦姫絶唱シンフォギアG
第1楽章〜黒の装者達〜
第4節「胸に力と偽りと」
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曇り始めていた彼女の本心に、気付く友は一人も居ない。

「そう、だよね……わかった」

恭一郎に手を引かれ、友人達と共にVIP席を後にする。

(響……早く来て……)

立ち去る直前、ステージに残った二人の歌姫と、その眼科に立ち並ぶノイズを振り返る未来の姿。

「小日向さん?」
「……うん」

不安に染まっていた未来の横顔を、恭一郎は確かにその目で見ていた。

ff

「よかった!じゃあ、観客に被害は出ていないんですね?」

響がほっと胸を撫で下ろす。
翔も心做しか、何処か安心したような溜め息を吐いていた。

『現場で検知されたアウフヴァッヘン波形については現在調査中。だけど、全くのフェイクであるとは……』
「……わたしの胸のガングニールが、無くなったわけではなさそうです」

自身の胸、フォルテ型の傷痕の場所に手を当てながら、響はそう言った。

『もう一振りの、撃槍……』
「それが……黒いガングニール……」

改めて、ガングニールのシンフォギアが二つ存在している事を認識した一同は、画面の奥で翼と睨み合うマリアの姿に目をやる。

中でも翔の表情は、姉への心配と焦燥の色が伺えた。

「姉さん……くっ、カメラの目さえなければ……」
『心配するな。今、緒川が対処に当たっている』
「緒川さんが?」

緒川さんが動いてくれているなら安心だ。
そう確信しながら、翔は時計を確認する。

現場到着まで、あと10分……。

ff

緒川は会場の裏手を全力で駆けていた。

(今、翼さんは世界中の視線に晒されている。その視線の檻から、翼さんを解き放つには──)

向かう先はスタッフの居なくなったカメラルーム。
回線さえ切断出来れば、翼は人目を気にせず戦うことが出来る。

翼の歌女としての人生を、彼女の歌を守るために緒川は走る。

……その途中、進行方向に現れた、手を引いて走っていく二人の少女の姿を緒川は見逃さなかった。

逃げ遅れてしまったのだろうか?
一般人がここに残っているのは危険だ。

緒川は目的地へ向かう前に、少女達に避難を促す為、そちらへと足を向けた。



「やっべぇ!アイツこっちに来るデスよ!」

壁の陰に隠れながら、翠色の瞳をした金髪の少女が慌てる。

前髪には黒いバッテン型の髪留め、服装は肩に白いバツ印が描かれた黒のTシャツに、黄色いフリルのスカート。
両手には黒と深緑のアームウォーマーと、全体的にゴシックパンクな雰囲気のファッションだ。

「大丈夫だよ、切ちゃん。いざとなったら──」
「調ってば、穏やかに考えられないタイプデスかー!?」

首から提げたペンダントを摘み、物騒な発言をしているのは、兎のように紅い
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