戦姫絶唱シンフォギアG
第1楽章〜黒の装者達〜
第4節「胸に力と偽りと」
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
為にも!)
「確かめたらどう? 私の言ったことが、騙りなのかどうか」
「……」
マリアからの挑発に耐え、無言で彼女を睨み返す翼。
その眼差しに、マリアは……。
「──なら、会場のオーディエンス諸君を解放するッ! ノイズに手出しはさせない。速やかにお引き取り願おうかッ!」
「何が狙いだ……?」
「フッ……」
なんと、人質の解放を宣言するのだった。
ff
(フィーネと名乗ったテロリストによる、国土割譲の要求……。ノイズを制御する力を振るい、世界を相手にそれなりの無理を通す事も出来るだろう。だが……)
人質の解放を宣言したマリアに、弦十郎は疑念を抱いていた。
自らのアドバンテージをわざわざ手放す意図が読めない。
手放しても問題ないというのなら、始めから人質など取らなくてもよかったのではないだろうか……?
『人質とされた観客達の解放は、順調です』
と、弦十郎の思考はそこで一旦中断される。
「わかった。後は……」
『翼さんですね。それは、僕の方で何とかします』
一人、ステージに取り残された翼はシンフォギアを纏えない状況だ。
その状況からの脱却を緒川に託し、弦十郎は再び思考を再開する。
現場は緒川と翼、そしてヘリで向かっている装者達が何とかするだろう。
ならば、司令である自分に出来るのは敵の狙いを暴き、装者達が動きやすいようにフォローする事なのだから。
ff
『何が狙いですか……こちらの優位を放棄するなど、筋書きにはなかった筈です。説明してもらえますか?』
ゆっくりと、慌てず、順番に、会場から避難していく観客達。
その姿をカメラで確認しながら、マムと呼ばれる車椅子の女性はマリアに問いかける。
「このステージの主役は私。人質なんて、私の趣味じゃないの」
『血に汚れることを恐れないでッ!』
マムと呼ばれる女性は、厳しい口調でマリアを咎める。
しかし、マリアはただ沈黙で返すだけであった。
マムと呼ばれる女性は、溜め息を一つ吐くとこう続けた。
『調と切歌を向かわせています。作戦目的を履き違えない範囲でおやりなさい』
「……了解マム。ありがとう」
ff
「ヒナ、わたし達がここに残ってても、足を引っ張っちゃうよ」
創世からの言葉に、未来は振り返る。
「うん、でも……」
「立花さん達だって、遅刻してますけど向かってるんですし」
「期待を裏切らないわよ、あの子は」
「あいつらが帰ってきた時、俺達に何かあったら申し訳が立たねぇじゃねぇか」
「家で嵐が去るのを待つことも、僕達に出来る事の一つだ。それは決して悪い事じゃない」
友人達の言葉は、きっと正しい。
だからこそ、何も出来ない自分が恨めしい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ