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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
戦姫絶唱シンフォギアG
第1楽章〜黒の装者達〜
第4節「胸に力と偽りと」
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進めて来た米国の組織であり、ウェル博士の所属先である。

「一両日中の国土割譲なんて、全く現実的ではありませんよ!」

藤尭の言うことは尤もだ。
要求と代償が比例していないのは、この手の事件では当たり前の事だ。

しかし今回の場合は、人名と身代金などという俗物的な要求の比では無い。
交渉の余地のない、各国に対するデモンストレーションが目的とさえ思える程の暴挙である。

「急ぎ対応に当たります」
『おう、頼んだぜ』

斯波田事務次官が通信を切ると共に、弦十郎は状況の整理を始めた。

(ウェル博士により強奪されたソロモンの杖……。F.I.S.のトラブルに、世界へと向けた宣戦布告……。そして……)

弦十郎が目をやったのは、基地の通信履歴だ。
見つめる先に表示されているのは、ライブ開始前に入った緊急通信。

通信してきたのは、国内に存在するとある聖遺物研究機関。
内容は、保管していた聖遺物が何者かに強奪された事を知らせていた。

幸い施設に大きな被害は出ていなかったものの、盗まれた聖遺物……サクリストIは厳重に保管され、解析が進められていた筈である。

同じ日に、こうも立て続けに事件が起こる──関連性を疑わない理由が、ある筈がない。

(これらが全て、この武装組織によるものであったとして……“フィーネ”か……)

その名前を、弦十郎は頭の中で繰り返す。
そして、その度に顔を顰めるのだった。

ff

「何を意図しての騙りか知らぬが──」
「私が騙りだと?」

翼の言葉にマリアは首を傾ける。

「そうだッ! ガングニールのシンフォギアは、貴様のような輩に纏えるものではないと覚えろッ!」

(ガングニールは立花の……そして、奏の物だッ!)

ガングニール……それは、翼にとって特別な名前。
今は翼の心の中に生きている親友を示す言葉であり、翼を変えてくれた仲間を示すものでもある。

故にこそ、翼は真っ直ぐにマリアを指さして否定し、聖詠を口ずさもうとする。

ガングニールを纏い悪事を成すなど、友への侮辱に他ならないからだ。

しかし──

「Imyuteus ameno──」
『待ってください翼さんッ!』

翼のイヤホンから届く緒川の声が、それを遮った。

『今動けば、風鳴翼がシンフォギア装者だと世界中に知られてしまいますッ!』
「でも、この状況で──」
『風鳴翼の歌は、戦いの歌ばかりではありませんッ! 傷付いた人を癒し、勇気づけるための歌でもあるのです』
「ッ! 緒川さん……」

緒川の声が一瞬、厳しくなった。
その言葉が、逸る翼の心を繋ぎ止める。

(そうだ……私は、こんな所で歌を手放すわけにはいかない。私の歌に励まされたと笑ってくれる人達の
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