第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第9話 新生勇美+α:後編
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「絶対依姫さんに似合うと思いますのに。ちなみに豊姫さんは白のノースリーブワンピースにケープの組み合わせがいいですね。豊姫さんの綺麗な金髪とあの帽子にとても合うと思うんですよ」
「私のみならず、人の姉まで巻き込むのはやめなさい」
それこそ問題だと依姫は思った。幾ら何でも勇美の趣味に走りすぎだと。
そんなやり取りをやる二人と、それをどこか無駄に暖かい目で見守る永琳。そこに新たなる来客が現れたのだ。
「依姫、お久しぶり。八意様もお元気なようで」
「あ、久しぶりね、豊姫」
それは今し方話題にあがった豊姫であった。月の守護に就いている所であったが、暇を見つけて師や妹のいる永遠亭を訪れたようだ。
「勇美ちゃんは初めましてよね、よろしくね」
「こちらこそお初にお目に掛かります、豊姫さん」
そこで初対面の二人は固く握手をした。
「お姉様もお久しぶりね……と言いたい所だけど」
依姫はそれを言うべきか迷いがあったが、敢えて踏み込む事にした。
「何で、『着ている』のですか?」
そう、依姫の指摘通り、豊姫は慣れ親しんだ自分の服との色違いのものではなく、先程勇美が豊姫の服装としてリクエストした白のノースリーブワンピースにケープの姿だったのだ。
「あら、似合ってないかしら〜?」
「そういう問題ではありません」
依姫は首を横に振った。論点はそこではないし、更に似合っているかいないかで言えば文句なく似合っているのも問題だったのだ。そこはかとなくエロティックだし。
「豊姫さん〜、とても似合ってますよ〜」
そりゃそうでしょうよと依姫は思った。勇美の趣味の産物そのものなのだから。
「ありがとう、勇美ちゃん♪」
豊姫はニッコリと微笑みながら勇美に返した。
だがその後、笑みを歪なものにして依姫に顔を向けた。
「さて、依姫……」
「な、何でしょうか……?」
依姫は嫌な予感がして冷や汗を顔に浮かべた。
「私も勇美もコスチュームチェンジしたんだから、貴方だけしないなんて許されないわよ」
「うっ……」
そう豊姫に詰め寄られて依姫は言葉を詰まらせた。ちなみに永琳に助けを求める意図で視線を送っても「あらあら、うふふ」と言わんばかりに優しく微笑んでいるだけで助け舟は渡してくれなかったのだった。
◇ ◇ ◇
──後日、永遠亭にて。
「ど、どうかしら?」
そう言う依姫の出で立ちは、清楚な白の小袖に艶やかな緋色の袴のコントラストが愛らしさと妖艷さを醸し出す──紛れもない正真正銘の巫女装束であった。
「ヒャッハー! ……ええ、文句なしに最高です」
当然勇美は歓喜し、ここに新しさが加わった勇美と依姫が揃ったのだった。
──ちなみに依姫は緋袴の形状を明治時代以降に作られたスカート状の物を選んだのである。理由は過去に縛
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