暁 〜小説投稿サイト〜
MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第9話 新生勇美+α:後編
[6/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
姫に代わりに謝られて、霖之助は気にしないように言う。しかし、少なくとも彼は今夜ぐっすり眠れないだろうというリスクを負ってしまったのだ。彼の鼻に詰められたティッシュが痛々しい。
「まあ、お買い上げ頂いてありがとう」
 ティッシュのせいで締まりがなくなりつつも、霖之助は店主としての最後の対応を行っていた。
「霖之助さ〜ん、また来るね〜」
「ああ、ありがとう。でも今度はああいう発言は抜きだと助かるよ」
 明るく振る舞う勇美に、霖之助は礼を言いつつも本音を漏らした。
「それでは、また機会があったら」
 依姫も勇美に続いて別れの挨拶をして店を後にするのだった。

◇ ◇ ◇

 そして勇美と依姫は永遠亭に戻って来ていたのだ。
「勇美ちゃん、似合ってるわよ」
 後に永遠亭の住人の多くに賞賛される事になる勇美だが、まず最初に言ってくれたのは永琳であった。
「ありがとうございます、八意先生」
 自分の晴れ姿を永琳程の人に褒めてもらえて、勇美は誇らしげになった。
 しかし、彼女は他に思う事があったのだ。
「ところで依姫さん」
「何かしら?」
 突然勇美に呼び掛けられて、依姫は疑問符を頭に浮かべた。
「私がコスチュームチェンジしたんだから、依姫さんもいかがですか? 寧ろお願いします! 更に言い換えるとオナシャス!」
「何故そういう話になるのよ?」
 少なくとも最後の言い換えは必要ないと付け加えながら依姫は聞いた。
「依姫さんは今、幻想郷を巡って人々と触れ合う為に来ていると聞きました」
「確かにそうだけど、これとどう関係あるのかしら?」
 未だに勇美の話の要点を掴めない依姫は尚も聞く。
「いえ、だから依姫さんにとっても新しい道なのではないですか?」
「!」
 その勇美の言葉に依姫は意識を覚醒させられるような感覚に陥った。
「……確かに貴方の言う通りね。私の負けだわ」
 勇美の真摯な思いに、依姫は観念する事にしたのだった。
「私の主張を聞き入れてくれるんですね? それじゃあ我がままついでに……」
 そこで勇美は邪な笑みを浮かべていた。
「依姫さんには巫女装束を着てもらいます」
「な、何言っているのよ!?」
 一度は折れた依姫であったが、さすがにその要望を受けるのは阻まれたのだ。
「だって、依姫さんは神をその身に降ろせる女性でしょ。つまり、正真正銘の巫女だからですよ」
「だからって、その服装は目立つでしょ」
 勇美に言われても、依姫は乗り気ではない。
 そうしていると勇美の様子に変化が見られた。
「お願いします! 霊夢さんも早苗さんも巫女装束からかけ離れているんですよ。だから、最後の頼みの綱は依姫さんだけなんですぅ〜」
「何も泣く事はないでしょ……」
 勇美に泣き付かれて、依姫は呆れ顔になっていた。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ