第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第9話 新生勇美+α:後編
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着ながら機械の分身を操る様がどう映るかを。
「それじゃあ、マーキュリー様、お願いします」
勇美は依姫の神降ろしの力を借りて以前呼び出した神に呼び掛けたのだ。
そして、勇美の側に金属の断片が次々現れると、ガチャガチャと音を立てて組み合わさり形が造られていった。
それはダチョウ型の二足歩行の機械。以前メディスン戦で見せた『エルメスの靴』の状態であった。
「どうですか依姫さん? 和服着た人がメカを召喚する様は?」
「ええ、いい意味で意外性があるわね」
と、依姫も賞賛した。
その側で唖然としていたのは霖之助である。何しろ勇美のメカ召喚を始めて見たのだから。
「僕は寧ろ君がそんな芸当が出来た事に驚きだよ……」
彼はそうぼやくしかなかった。
「私だけの力じゃありませんよ。依姫さんと神様の力を借りて出来るようになったんですから」
勇美は胸に手を当ててしみじみと言った。その事をこれから忘れる事はないだろう。
「ところで霖之助さん」
「何だい?」
「聞いた話では、あなたの能力はアイテムの用途が分かるってものでしたよね?」
「ああ、そうだけど」
突然自分の能力に話題を持っていかれて、何事かと霖之助は勇美に聞く。
「そこで、霖之助さんにこのマッくんの用途を見てもらいたいんです」
「その機械をかい?」
首を傾げる霖之助だったが、すぐに気を持ち直した。彼自身、目の前の少女が作り出した機械の用途は何と出るか見てみたくなったのだ。
「分かったよ。やってみるからね」
そして霖之助はそのダチョウ型の機械に手をかざして念じた。
それを30秒程行っていた霖之助は、その手を引いて首を振った。
「駄目だね、この機械の用途が何なのか、まるで分からなかったよ」
「分からないんですか?」
顔に少し落胆の色を見せて勇美は聞き返した。
「うん、こんな事は初めてだよ」
彼は遠い目で言う。
「やっぱり、マッくんはアイテムとしては扱われないって事でしょうか?」
勇美は可能性の一つを口にした。自分が作り出す分身だから、生物として扱われ、アイテムではないのだろうと。
「そうかも知れない、でも……」
霖之助は勇美の意見に同意しつつも、別の可能性をあげる。
「この機械の用途は……『君が決めていく』って事なんじゃないかな?」
つまり、マックスがどういう存在になっていくかは、勇美次第だという意味を霖之助は込めたのだった。
それを聞いて勇美は、はっとなってしまい、そして言う。
「そっかあ、マッくんの役割は私が決めるのかぁ〜……」
感慨深そうに勇美は言った。
「霖之助さん……うれしい事言ってくれるじゃありませんですか」
染々と呟く勇美。そこに依姫がキッときつい視線を送る。
「ひぃぃ」
勇美はそれに戦慄した。
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