第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第8話 新生勇美+α:前編
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ち着ける広さであった。
落ち着ける要因をもたらしているのは広さではなかった。造りは和室のようになっており、壁は断じてストレスの原因になる白ではなく、和室特有の薄緑色で安らぐものとなっていたのだ。
そして日当たりの方も申し分なかった。竹林の中にあるから不安要素であったが、丁度永遠亭のある所は開けた場所であるため日光も差し込んでくるのであった。
「ありがとうございます、こんな素晴らしい部屋を用意して頂いて」
勇美は嬉しくなって、ぺこりとお辞儀をしてその喜びを振る舞いで表した。
「気に入ってもらえて何よりよ、勇美ちゃん」
それに対して永琳も笑顔で返した。
「暫くゆっくりしていていいわよ」
「えっ? 私にそんな表情の崩れた首だけの存在になれって言うんですか?」
「その『ゆっくり』とちゃうわ」
依姫は色々な意味で落胆した。勇美の言う事にも、『ちゃうわ』などという自分のキャラクターに合っていない突っ込みをしてしまった事にも。
「まあ、取り敢えず……」
だが依姫は気を取り直す事とした。
「十分に疲れが取れたら、私の部屋にまで来てくれるかしら?」
「貴方を連れて行きたい所があるから」と依姫は付け加えた。自分の部屋の場所も説明しつつ。
「?」
それに対して勇美は首を捻りながらも今日の稽古の疲れを取るべく、取り敢えず新たな居城となったこの場所で寛ぐ事にしたのだった。
◇ ◇ ◇
そしてあらかた疲れが取れた勇美は依姫の部屋まで行き、彼女を呼び出していたのだ。
「それで依姫さん、私を連れて行きたい所ってどこですか?」
勇美は当然起こる疑問を依姫に投げ掛けた。
それに依姫は答えるべく口を開く。
「それは、服屋よ」
「服屋……ですか……?」
予想していなかった答えに勇美は首を傾げる。
「何で服屋なんですか?」
「それはお祝いという訳ではないけど、貴方が初めての弾幕ごっこで勝利した、これがいい機会だと思ってね」
「機会ですか?」
勇美は疑問を依姫に答えてもらっても、新たな疑問が生まれるという流れになってしまっていた。
「そう、機会よ」
そして依姫はその迷走に終止符を付けるべく説明を始めた。
それは勇美の今の出で立ちにあった。幻想郷の外の産物であるセーラー服だからである。外界の服装でずっといては主に悪い意味で目立つというのがまず第一の依姫の考えであった。
そして第二に勇美が依姫から神の力を借りるようになり、更に初勝利までした事で『新たな道』を歩み始めたからである。これを期に服装を変えて心機一転するのもいいだろうという考えからだ。
勿論依姫は勇美が今まで歩んで来た人生を否定して、まっさらに塗り替えるような傲慢な考え方はなかった。言うなれば今までの彼女の要素に新たなるものを『付け加える』と
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