第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第8話 新生勇美+α:前編
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答えであった。永遠亭まで行くには迷いの竹林を通らねばならないのだ。ただでさえ視界が悪いのに、そこに人を襲う妖怪が徘徊するとなれば尚の事である。
だからそこを通るのに幸運を呼び込む能力を持ち、更に竹林の地理に詳しいてゐの力を借りなければならないのだ。たまにならばいいが、毎回彼女に手間を掛けさせるのでは勇美にもてゐにも負担となるだろう。
「そうよね、だから私は貴方がここに住む事を提案しているのよ」
「お気遣いありがとうございます。でも、私が新しく住んでいいのですか?」
勇美は尚も踏み切れない気持ちである。
「大丈夫よ、元より永遠亭は大所帯だし、輝夜の能力で部屋はいくらでも増やせる……でしょう、八意様」
依姫が突然自分の師の名前を出すと、その張本人が丁度休憩室の入り口にいたのだ。
「その通りよ」
「来てたんですか八意先生」
「……やっぱりその呼び方は通すつもりなのね」
「ポリシーですから♪」
そんな勇美と永琳のやり取りを見て、依姫は些か自分が師を『八意様』と呼び慣れて使っている事を後悔していたのだった。
そんな元弟子の思惑をよそに永琳は話し始めた。
「勇美ちゃん、依姫が言った通りだから、遠慮はいらないわよ」
永琳はにっこり微笑んで言った。
(……)
勇美はその有無を言わせぬ包容力によって決定打にされたのだった。もはや選択肢はないも同然であった。
「依姫さん、八意先生。これから永遠亭でお世話になります。不束者ですがよろしくお願いします」
「いや、その言葉はおかしい……」
依姫は項垂れた。別に嫁入りする訳じゃないのだからと。
「それじゃあ、勇美ちゃんの部屋に案内するわね、依姫もお願いね」
「はい八意様。勇美、こっちよ」
「はい、お願いします」
三人はそんなやり取りをした後、休憩室を後にしたのだった。
◇ ◇ ◇
そして、勇美は依姫と永琳に連れられて永遠亭の廊下を歩きながら思っていた。──やはり永遠亭は快適な所であると。
行き届いた管理がされ清潔であり、造りも立派でありつつも威圧感がなく優しいものである。
そういったものは創作物では軽視されがちで人間関係ばかりがピックアップされ、それを真に受けた者が現実とごちゃ混ぜにして周りに押し付けるのだ。
だから勇美は人との関わりは勿論大切にするが、物理的な充実をより大切にして行きたかったのだ。
故にこのような素晴らしい造りの永遠亭に住めるのは願ってもない事であった。
「勇美、ここがあなたの部屋よ」
そして自分の新たな住まいとなる部屋に着き、依姫に案内されたのだ。
「ここが私の部屋かぁ〜」
そして勇美はその部屋を一望した。
そこは旅館の一室程はある広々とした空間であった。それでいて王室のように庶民には広すぎるという事もなく落
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