第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第8話 新生勇美+α:前編
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ろうとも勇美はそう決心するのだった。
◇ ◇ ◇
「それで勇美、提案があるのだけど」
本日のノルマをこなした勇美は、依姫と共に休憩室で憩いの時を過ごしていた所に依姫から話しかけられたのだった。
「はひ、なんれしょうは?」
対して勇美はお茶請けの大福を頬張りながら返したものだから、その脱力を誘う雰囲気は半端なかったのだ。そして行儀が悪い。
「……勇美、物を食べながら喋るのは止めなさい」
「すみません」
依姫に注意されて、勇美は大福をちゃんと噛んで飲み込んだ後で謝った。
「でも、依姫さんも私が食べてる所に話しかけたじゃないですか〜?」
「あ、それは失敬でしたね」
勇美に指摘されて依姫も詫びる。彼女は支配型の人間とは異なり、きっちりと自分の非は認める性質なのであった。それが彼女の精神面でも能力面でも強くさせた一因なのだ。
「それで依姫さん、私に提案って何ですか?」
話を仕切り直すべく、勇美は依姫に聞き直した。
「そうね、話を戻すわ……」
そう言って依姫は咳払いをして会話のペースを整え、そして言った。
「勇美、これから永遠亭に住まない?」
「ええっ!?」
突然の話に勇美は驚いてしまった。幸い大福も飲み込んだし、お茶も口に含んでいない状態だったため、吹き出す物はなく大事には至らなかった。
「な、何言っているんですか依姫さん!?」
「言葉通りよ、貴方に永遠亭に住まないかって話をしたのよ」
取り乱す勇美に構わず、依姫はさらりと言ってのけた。
「何故そういう話を私に持ちかけるのですか?」
少し平静を取り戻した勇美は、呼吸を整え依姫にその言葉の真意を問う。
「貴方は私と稽古する為にいつも人里から永遠亭に通っているでしょう?」
「はい、確かに」
依姫の言う通りであった。人里に住む勇美は依姫に会う為にいつも永遠亭に足を運んでいたのだ。人里で神の力を借りる稽古などしたら騒ぎになるし、最悪思わぬ被害が出かねないからである。
「その事、貴方はどう思っているのかしら?」
そう依姫に言われて勇美は胸に手を押し当て考えてみた。
「ううっ、やっぱり胸がない……」
自分の胸部のボリューム不足を呪いながら、涙目になり依姫に目で訴える。
「それは今話題にする事ではないわ……」
依姫は頭を掻きながら呆れた。
「何を〜、自分が結構あるからってぇ〜。ない者の気持ちはない者にしか分からないわよ」
「そう、ごめんなさい」
勇美の話題はどこか論点がおかしいのだが、その主張は的を得ている為、依姫は折れる事にしたのだった。
だが、いつまでもそうしているのは変なので、勇美は再び胸に手を当て、先程の話題について考える事にしたのだ。
そして答えが出た。
「はい、確かにここまで通うのは面倒ですね」
それが
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