第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第8話 新生勇美+α:前編
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「『天津甕星』よ、我が銃身となりて星の力を貸して下さい」
そう勇美が唱え右手を前にかざすと、そこに星のように輝かしいSF映画で見るような外観の銃が顕現したのだ。
そして勇美はスペルカードを宣言する。
「【星弾「プレアデスブレット」!】
それに続いて彼女はその未来銃の引き金を引いた。するとそこからシャリシャリと固い物を削るかのような音を立てて、漫画で描くような星の塊が次々に弾丸の代わりに放たれたのである。
「いっけぇ〜〜!!」
それを見届けながら、勇美は勇ましく掛け声をあげた。
その弾の星団が向かう先には……依姫がいた。彼女は無表情で構えていて、その心境を読む事は出来ない。
「……」
そして依姫は無言で刀を構えたのだ。続いてそれを無駄のない動作で振り抜く。
するとパキンとガラス質の物が割れるような音を立ててその星の弾の一つは切り落とされたのであった。それが皮切りとなり次々に弾は退治されていった。『飛んで火に入る夏の虫』という表現がものの見事に合う光景であった。
とうとう星の弾は依姫の剣捌きによって全て切り落とされたのだった。
「はい、今回はここまで」
そこで依姫は勇美に言った。
「ああ〜……」
勇美は安堵と落胆の入り交じった複雑な心持ちとなっていた。
「ますます腕を上げてるわね。感心ね」
依姫は笑顔になり勇美を労った。だが、圧倒的な依姫の技量を見せつけられた後では皮肉に聞こえてしまうのだ。勿論依姫はそのようなつもりはないのだが。
「でも、依姫さんに一撃も当てられなかったじゃないですか〜」
勇美はがっくりと項垂れ、少々涙目になって抗議する。
「それは私だからよ」
勇美に言われて依姫はそう返した。彼女は自己陶酔から自分の事を強いという者ではないが、謙遜をして同情を誘うような者でもないのだ。
だから、ちゃんと自分の力量を正確に認識した上でそう言い切ったのだった。
「さすがです……」
勇美もその依姫の発言を嫌味とは取らずに、純粋な気持ちで受け取ったのだ。
「まあ、取り敢えず今日の稽古はここまでよ」
「ありがとうございました」
依姫に今日やるべき事の終わりを告げられて、勇美は強張った肩の力が抜けるような感覚に陥った。
そして、依姫に追い付く光景がまるっきり想像出来ないのだった。方や才能に恵まれ神降ろしを使いこなし自分の肉体の鍛錬も欠かさないという努力も怠らないという隙のない存在、方や昨日の今日で神の力を借りる手段を手にしてそれを手探りで探っている存在と、明らかに掛け離れているのだから。
(でも……)
しかし、勇美はそこで思った。純粋な力では依姫に追い付く事は不可能であろうとも、せめていつか弾幕ごっこでは肩を並べられる所までは行きたいと。それすら高嶺の花であ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ