第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第7話 探求の心
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黒銀勇美の初の弾幕ごっこは、彼女の勝利という形で幕を閉じたのだった。
その喜びに、盛大にはしゃぐ勇美。
いかなる時も初陣を勝利で飾れるとは限らないのだ。だから、今回の勇美の勝利は彼女にとって大きなプラスとなるだろう。
だが、いつまでも一人で喜んではいられないだろう。勇美は興奮を段々押さえていくと、視線を自分と戦ってくれた相手──メディスンに向けたのだ。
「メディスンちゃん、私と弾幕ごっこしてくれてありがとうね。いい戦いだったよ」
そう、自分の勝利にばかり浮かれるのではなく、向き合ってくれた相手を労う事も忘れてはいけないだろう。
言われてメディスンも笑顔になり、
「どう、初勝利の味は? 『勇美』?」
と、勇美の奮闘を称えるのであった。
自分との戦いで負けた相手が褒めてくれて勇美は嬉しくなった。更に彼女は『それ』を聞き逃しはしなかったのだ。
「メディスンちゃ〜ん、やっと私を名前で呼んでくれたんだねぇ〜♪」
勇美はそう舞い上がり、気付けばメディスンに抱きついていたのだった。
「初勝利、最高だよぉ〜♪ ……ってあれ?」
ばたん。そしてまたメディスンの毒を体に受けて倒れるという、ギャグ漫画の王道のような『お約束』をかます勇美であった。
◇ ◇ ◇
「伊豆能売よ……はい、またなんですよね、頼みます」
前回のように伊豆能売を呼び出し、彼女の力で勇美の毒を浄化していく依姫。そして、それにより勇美は顔色が良くなり目を覚ましていった。
「あっ、おはよう……」
寝ぼけ眼で勇美が目覚め、そして状況を把握した。
「依姫さん、伊豆能売様、手間かけさせてすみません……」
苦笑いで取り繕う勇美。それに対して依姫は、溜息を吐きながらも言った。
「全く……。でも最初の弾幕ごっこを勝利で飾ったのですから、少し浮かれても多めに見ましょう」
「ありがとうございます……」
依姫に言われて、苦笑いだった勇美も表情が柔らかくなる。
「勇美もお目覚めみたいだし、私は鈴蘭畑に帰るわね」
(メディスンちゃん……?)
もしかして、私が眠っている間中ずっと側にいてくれたの? 勇美はそう思ったが口には出さなかった。
軽く憎まれ口を叩かれ誤魔化されるのがオチだからであった。俗に言う『ツンデレ』という概念である。
「じゃあね、二人とも」
そしてメディスンは永遠亭を後にして帰路に着いたのだった。
「それでは私も用がありますから、勇美はしばらくここでゆっくりしているといいわ。疲れたでしょうから」
依姫もそう言って休憩室を後にした。
(……)
その様子を勇美は何か思う所があるように、じっと見つめて見送ったのだった。
◇ ◇ ◇
そして休憩室に残った勇美は、疲れた体を休めながらひたすら時間を貪っていた。
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