第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第7話 探求の心
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うだ。
そして映像は全て流れ、勇美はそれを見終えたのだった。
(……)
勇美は暫し頭の中で、今し方見た映像、依姫の振る舞いについて整理をしていた。
やはり、自分は他の者よりも依姫に良くされているのだと思った。
そして、地上の海を穢れの海と称したりする等、多少地上に対する差別意識はあるのだとも。
だが、それは些細な事であるし、下手な地上の住人よりも余程紳士的であったのだ。
そして、依姫の振る舞いには厳しさの中に優しさが確かにある事も勇美には分かるのであった。自分の一部としている我が子に対して厳しさを前面に押し出す自分の母親とは、全くの別物であると。
しかもそれを、ほとんど月への観光目的で行ったが、曲りなりにも侵略を掲げた者達へ行ったのだ。ここまで敵に敬意を送れる者はそういないだろう。
そこまで整理して、勇美の気持ちは少しずつ、しかし着実に固まっていったのだ。観賞の際に飲み食いしたポップコーンとコーラの味が心地好く脳内で反芻されているような感じがするのも気のせいではないだろう。
そして勇美は投影機の電源を切り、試写室を後にするのであった。自然と足取りも軽くなっていた。
「見終わったようね」
それを見計らって現れた永琳が勇美に言った。
「はい、おかげさまで。ありがとうございました」
勇美はこれ以上ない貴重な映像を提供してくれた永琳にお礼を言った。
「それは何よりね」
「はい、それで依姫さんは今どちらに」
勇美は依姫の居場所を永琳に聞いた。
◇ ◇ ◇
「あっ、依姫さん」
勇美は永琳の言葉を便りに依姫を見つけ出して会っている所であった。
「勇美……」
依姫はそう呟く。これから勇美がどうするかは彼女次第なのだ、だから自分が口を出すべきではないのだ。
依姫は自分自身は悔いのないように行動する事を心掛けているつもりだ。だが、自分が正しいと思ってする事を他人が認めるとも限らないのである。
そして、今決定権を持つ勇美は口を開いたのだ。
「依姫さん、これからもお願いします」
依姫の危惧が完全に消え去った瞬間であった。
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