第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第7話 探求の心
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依姫に対して懐疑的にされるのは心地よいものではないだろう。
「でも、私が直接話すよりも、手っ取り早い方法があるわ」
そう言って永琳は懐から何かを取り出した。
「?」
勇美は首を傾げてそれを見ると、それは何かのディスクであった。
何だろう? 勇美の疑問は尽きない。
「八意先生、これは何ですか?」
「これはね……」
勿体ぶっていう永琳の表情はその大人びた風貌に不釣り合いな、悪戯っ子のようなものになっていた。
「依姫が月で霊夢達と戦った時の映像よ」
「ぶーっ」
その言葉に驚愕した勇美は派手に吹き出してしまった。例によって飲み物であるアイスティーは飲み終えた状態だったので幸い大事には至らなかったようだ。
「勇美ちゃん、女の子がはしたないわよ」
「すびばせん」
さっきマックスに神を降ろす修練をした後の休憩の時と、言われた事まで同じじゃないかと勇美は思うしかなかった。
「それにしても、どうしてそんな物を持っているのですか?」
「ふふっ、月の頭脳と言われた私をなめてもらっちゃ困るわ」
これ以上の詮索は無意味だと、勇美は身を引く事にした。
「それでどう? 観る?」
「……」
勇美は脂汗を垂らしながら迷った。これって所謂プライバシー侵害ではないかと。だが彼女の気持ちは最初から決まっていた。
「はい、観させて頂きます!」
◇ ◇ ◇
そして勇美は手にポップコーンとコーラを持って、永遠亭の廊下を歩いていたのだ。
「よしっ、確保するものは確保したっと♪」
うきうきした様子で勇美は歩を進めていた。そこに向こう側から依姫が歩いて来た。
「あっ、依姫さん」
「どうしたの勇美、ポップコーンとコーラなんか持って?」
「いえ、大した事じゃないです」
「いえ、お構いなく」
「いや、その返事はおかしい」
依姫は首を横に振った。しかし、それ以上咎める事もなく勇美を見送った。
そして依姫は今度は側まで歩いて来た永琳に事情を尋ねる事にしたのだ。
「八意様、勇美は一体どうされたのですか?」
「それがね、依姫が自分以外の者にどう接しているのか知りたいって言うからね」
永琳はさらりと言ってのける。普通なら秘密をあっさりバラす暴挙だが、相手が依姫なら問題ないと踏んだのだ。
「それで、八意様はそれに対していかがなされたのですか?」
「それは勿論、あなたが月で侵略者と戦った時の映像を見せてあげる事にしたわ」
その瞬間、暫し時間が止まった。そして、時は動き出し、静寂は破かれる。
「な、何言っているのですか八意様ー! そもそも八意様はその時地上にいた筈でしょうに、どうやって映像なんか確保していたのですか!?」
依姫は柄にもなく取り乱してしまっていた。それだけ、師である永琳には未だに敵わないものがあるのだ
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