第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第7話 探求の心
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「う〜ん、平和〜♪」
楽しく弾幕ごっこをやるのもいいが、何事もなく過ぎる時間もたしなむ程なら心地良いものである。そう勇美は思った。
「あ、勇美ちゃん調子はどう〜?」
そこに誰かがやって来た。
「あ、八意先生」
「勇美ちゃん、私の事そんな呼び方するの……?」
まるで魔人探偵のパートナーと殺せない教師を足したみたいで、これどうなのと思う永琳だった。作者が同じだからってそれはないだろうとも。
「永琳でいいのよ」
「いえ、依姫さんが八意様って呼んでいるのに影響されてしまいましてね……」
「そう、なら仕方ないわね」
どうやら永琳の方が折れる事にしたようだ。依姫は勇美に新たな道を与えた者である事は彼女も承知だから、彼女を慕う勇美の事を考えての事である。
「それで、体の方はどうかしら?」
気持ちを切り替えて、改めて永琳は勇美に聞いた。
「はい、毒の方も疲れの方もバッチリ抜けました」
ニカッと爽やかな笑みの元、勇美は返した。
「そう、それは良かったわ。医者として気になっていたからね」
「お気遣いありがとうございます」
そうやり取りをした後、永琳は手に盆ごと持っていたものをテーブルに置く。
「喉渇いたでしょう、良かったらアイスティー飲んで」
「いいっすねぇ〜」
タメ口? 永琳は思った。しかもこの台詞をいったので更なる嫌な予感が彼女を襲っていた。
「睡眠薬は入っていませんよね?」
やっぱり来やがった。いくら自分が薬に精通しているからって、疲労困憊の子に睡眠薬を盛ってたまるか。しかも自分には同性愛の気はない。
「そういう事言うなら飲まなくていいわよ」
「いえ、丁度飲み物欲しかった所なので、ありがたく頂かせてもらいます」
冗談めかして言う永琳に対して、勇美は少し焦りながらアイスティーの入ったコップを持つと、美味しそうに飲み始めた。
「正直な子で可愛いわね」
「ちゃ、茶化さないで下さい……」
アイスティーを飲みながら顔を赤くして縮こまる勇美のその様相は、さながら小動物のようであった。
その最中、勇美は思っていた。さすがは依姫さんのお師匠様だと。あらゆる面でこの人には勝てないと、まだ未熟な感性ながらも彼女は察するのだった。
そして勇美はアイスティーを飲み終わる。
「ぷは〜、ごちそう様でした〜」
喉を潤し、火照った体を程よくクールダウンした勇美は満足気に言った。
「ふふっ、お粗末様」
その様子に永琳も気分が良くなったようだ。
「それじゃあね、勇美ちゃん。私はこれで……」
「あ、待って下さい八意先生」
永琳も退室しようとなった時、勇美は咄嗟に彼女を呼び止めたのだ。
「どうしたのかしら?」
引き止められて気を悪くした様子もなく、永琳は笑顔で勇美に答える。
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