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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第6話 毒VS鋼:後編
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かし、その規模は家庭用の扇風機と比べて一回り大きく、言うなれば業務用の送風機さながらである。
「じゃあ行くよ」
 そして勇美は風神の力を取り込んだマックスに頭の中で司令を送った。
 そして、思い描いたスペル名を口に出す。
「【空符「倒し難き者の竜巻」】!!」
 勇美のスペル宣言を皮切りに、その送風機は徐々にファンを回し始めた。
 回転はどんどん速くなっていき、ブゥーンという重厚な音を奏でていったのだ。
(まずいっ!)
 そのただならぬ力量ひメディスンは危機的なものを感じた。そして行動に出る。
「その扇風機、壊させてもらうわよ! 『デスポイズン』!」
 そう宣言し、この戦いで何度も活躍している『物殺しのナイフ』を手に持ち、メディスンはマックス目掛けて飛び掛かった。
「残念、壊しに掛かるのが一足遅かったみたいだね。マッくん、頼むよ」
 勇美がマックスに司令を出すと、彼はその体をメディスンに向けたのだ。
「!!」
 そして飛び掛かって来たメディスン目掛けて──大規模な送風が浴びせられた。
「きゃあああっ!!」
 風の猛攻を受けてメディスンは悲鳴をあげながら吹き飛ばされてしまった。そしてしたたかに地面に体をぶつけてしまう。
「まだまだいくよぉ〜。マッくん、この厄介な霧を吹き飛ばしちゃって〜!」
 マックスはまるで『承った』と言ったかのような雰囲気を醸し出した後、送風量を更に高めたのだ。
 すると、その風は小型の竜巻位になった。小型といえども庭園で起こすには十分に大規模なものであったのだ。
 その竜巻にガシングガーデンで生み出した毒霧は余す事なく取り込まれてしまった。そして霧の薄暗さはなくなり、竜巻により辺りの視界は乱れていた。
「もういいかな? マッくん、ありがとう」
 勇美の言葉を受けるとマックスは徐々にファンを回す速度を緩め、送風を止めていったのだ。
 すると段々竜巻は止み、辺りはすっきり晴れ渡った庭園が見渡せるようになったのである。
「マッくん、戻っていいよ。風神様、ありがとうございました」
 勇美がそう言うとマックスから神の気配が抜け落ち、彼の体がパーツに分解されてかき消えたのだ。
「さて……」
 そして勇美はメディスンに向き直り、彼女に呼び掛けた。
「まだ弾幕ごっこ続ける?」
 あぐらをかいてどこか不貞腐れたような振る舞いをしていたメディスンは、その言葉を聞くと憑き物が落ちたように爽やかな表情となり、
「いいや、完敗。私の負け」
 と言い切ったのだった。余談だが「何回やっても何回やっても」毒霧は吹き飛ばされるから無意味という台詞付きであった。
「やった、勝った〜♪」
 初の弾幕ごっこ勝利に勇美は歓喜したのであった。
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