第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第6話 毒VS鋼:後編
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は、機械という物を使役して戦う彼女にとって生理的な嫌悪すら与えるのだ。
「でも、この水銀刀に刺すのは難しいんじゃない?」
冷静さを少し取り戻した勇美は、そう指摘した。確かに刃に刃を刺すのは至難の技だろう。
「残念ね、今度はこのデスポイズンだけじゃないわ」
その言葉に続けてメディスンは説明をし始める。
「これから使うスペルはね、相手を狂わせるのが主な使い方なんだけどね、あんたとのこの勝負にはしつこく相手を蝕む形では毒は使わないって決めてるからね。
『自分を興奮状態にする』ために使わせてもらうわよ」
そう断ってから、メディスンはスペル宣言をした。
「【譫妄「イントゥデリリウム」】!」
メディスンがそのスペルを宣言すると、彼女の左手にコーラのような外見の液体が入った瓶が現出した。
「うわあ、美味しそう。私もそれ飲みたい〜」
初のスペルカード戦で喉も乾いていたのだろう。勇美はコーラは体に余り良くないとは思いつつも、肉体が欲しがってしまうのだった。
「だから、あんたに飲ませちゃこの弾幕ごっこの流儀に反するんだって」
メディスンは首をぶんぶんと横に振って言った。
「う〜、ケチぃ〜」
「ケチとか言うな、人聞きの悪い」
やたら絡んでくる勇美に対して、メディスンはあしらうのが億劫になってくる。そこで至った結論は。
「飲んでしまえばこっちのものでしょ」
単純な理論であった。それを実行するためにメディスンは瓶の蓋を外して一気に飲み始めたのだ。
ごくごくと喉を鳴らして飲むその様は見応えがある位だ。いささかメディスンのような見た目幼い少女には不釣合ではあるが。
「抜け駆けは許さないよメディスンちゃん……って」
まだ諦めの悪さを見せる勇美であったが、ようやく異変に気付いたようだ。
体から得体の知れない気迫とオーラを醸し出しながら、メディスンは息を荒げていた。そして豹変した彼女は口を開く。
「オクレ兄さーん!!」
ヤバい薬であったようだ。勇美は断じて飲まなくてよかったと運命に感謝したのだ。彼女はレミリアとは面識がないが、それに感謝せずにはいられなかった。
「ヒヒヒヒヒフフフフフフフあんた」
勇美は戦慄した。メディスンの発する言葉が、もはや意味を成していなかったからである。そしてメディスンは黒塗りのナイフを片手に勇美目掛けて突っ込んで来たのだ。
「うわあ、来た!」
勇美は更におののく。今までメディスンは毒を使っての遠距離攻撃に徹していたからだ。それが今自分の体を使って迫って来るではないか。
「ハアアッ!」
そして掛け声と共にメディスンの手に握られたナイフ──デスポイズンが振り下ろされた。
いくら生き物の命は奪わないものであろうとも、れっきとした得物である。これで斬られたらダメージは免れないだろう
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