暁 〜小説投稿サイト〜
MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第6話 毒VS鋼:後編
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
は呟いた。どこか気の毒そうに。
「いい刀だと思うけどね、人間のあんたには持て余す代物じゃないかしら?」
 それがメディスンの見解だった。いくら精度の高い得物があろうとも、使うのが人間、それも妖怪退治のような訓練を受けていない者が使えば宝の持ち腐れだろうと。
 だが、勇美とてその事は百も承知だったのだ。何しろその事で今まで苦汁をなめてきたのだから。
「分かってるよ、私にはお侍さんのように格好良く普通に刀を振り回す事なんて出来ないのは」
 どこか憂いを含んだ表情で勇美は言う。
「だから、私は私のやり方でやらせてもらうよ!」
 高らかに言った後、勇美は大きく手に持った刀を振りかぶった。するとその刀身は鞭のようにしなり、長く伸びたではないか。
「食らいなさい!」
 勇美はそう叫ぶと、その刃の蛇をメディスン目掛けて打ち下ろしたのだ。
「!!」
 予想をしていなかった刀──と、もはや呼べる代物ではない──の軌道にメディスンは翻弄され、その攻撃を許してしまった。
「きゃあっ!」
 刃に斬り付けられ、メディスンは悲鳴をあげた。
「それそれそれー!」
 勢いづいた勇美は、その化け物刀を水を出して放置したホースのように巧みに暴れさせていった。
 そして、その刃は何度もメディスンの体を斬り付けていく。
「それそれー、どう? おばかさぁ〜ん?」
「勇美……字が違うわよ……」
 調子づく勇美に対して、依姫は呆れてしまっていた。それだと寧ろ相手の方が人形だ等とどうでもいい突っ込みが脳内で再生されてしまうのだった。
「あ、ちょっと一休み」
 液体金属の鞭を暴れさせていた勇美は、ここで疲労を感じたのだ。やはり人間には肉体に限界があるのである。得物を持った手を引くと、みるみるうちに伸びきった刀身は縮まり元の刀の形を取ったのだ。
「助かったぁ……」
 弄ばれていたメディスンは、嵐のような猛攻が止みほっと一息ついた。
「うん、疲れたからね……」
 勇美はやや呼吸を乱しながら呟いた。
「無理はしない方がいいよ」
 そんな勇美に対してメディスンも優しく言う。しかし……。
「あんたが攻撃の手を休めたのが命取りだよ♪」
 にんまりと満面の笑みを浮かべながらメディスンはのたまった。
「ですよね〜」
 当然こういう事態が来るものだと、勇美は心の中で嘆くしかなかったのだ。
 そんな勇美の心境に構わず、メディスンは口を開いた。
「まずは、さっきの『デスポイズン』ね」
 メディスンはスペル宣言すると、彼女の右手に髑髏の紋様が浮かんだと思うと、そこには先程の黒塗りのナイフが握られていたのだ。
「うわあ出た……」
「そんな露骨に嫌な顔をしなくても……」
 メディスンにそう言われても勇美は、嫌なものは嫌なのであった。『物の命』を奪うその毒のナイフ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ