第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第5話 毒VS鋼:前編
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も臨戦態勢となり、鋼の盗賊マックスへと再び司令を送った。
ナイフは次々に球体へと命中して、それを打ち落としていった。だがメディスンもめげる事なく球体を現出させては繰り出していく。
そのようなやり取りを互いに続けていった後、勇美が言った。
「神経の毒はナイフで打ち落とせるから、何度やっても同じだよ!」
確かに順当にメディスンの弾幕を攻略していった勇美に分があるように見えた。だが当のメディスンは不適な笑みを浮かべていた。
「それはどうかしらね?」
「む〜、何がおかしい〜!」
三流悪役のような、しかも間の抜けた口調の台詞を言って勇美は頬を膨らませる。
「私達の周りを見てごらんなさい」
「周りって……あっ!」
メディスンに言われた通りにして、勇美はようやく事の真相を理解したのだ。
──辺り一面大庭園の地面に何かが埋まっていたのだ。そう、それは他でもない『神経の毒』であった。
打ち落としたと思っていたそれだが、実際はナイフに貫かれても破壊される事なく、その場で地面に落ちて残存していたのだ。
「まあ、気にせず歩いてもいいわよ。踏んで神経にダメージを負っても構わないならね」
ここまでを見ていた依姫は思っていた。これは確実に、周りに目を向けるのを怠ってしまった勇美のミスだと。
だが、勇美にとって初の弾幕ごっこであるのだ。だからそれを責めるのは酷だという結論に達していた。
「でも、それならメディスンちゃんだって条件は同じじゃない?」
勇美は一見もっともな意見を言った。
「馬鹿ね、蛇が自分の毒で死ぬ訳ないでしょ♪」
「ですよね〜」
しかし、現実は非情であった。それに対して勇美は苦笑いするしかなかったのだった。
「だけど、罠を張っただけじゃ芸がないから、追加でやらせてもらうよ」
そう言うと、メディスンは毒を自分の周りに放ち、それを変型させていった。
「行きなさい、ポイズンビー!」
スペルカードではないメディスンの攻撃が発動された。文字通り蜂の形をとった毒の塊が勇美目掛けて襲い掛かる。
「参ったねぇ〜」
勇美は頭を掻いて、困った様子を見せるが……。
「な〜んちゃって♪」
それが一転して、舌をペロッと出して悪戯っ子のような振る舞いを見せた。
「!」
これにはメディスンも面食らってしまった。だが、すぐに冷静さを取り戻す。
「ふん、負け惜しみなんて見苦しいわよ。地面には神経の毒、あんたの目の前にはポイズンビー、この完璧な布陣をどう攻略するっていうの?」
「こうするんだよ」
そう言った勇美は再びマックスの動力となっているマーキュリーに呼び掛けた。
「マーキュリー様、あなたの優れた脚捌きを貸して下さい!」
その言葉の後に、盗賊の形を取っていたマックスは一気に分解され、空気中に四散した。
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