第8章:拓かれる可能性
第239話「幽世の意地」
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を取らせる事で牽制する。
「うち滅ぼせ、流れ星!」
―――“星落とし”
紫陽の霊力と瘴気によって形作られた星が落ちる。
それだけで神々を倒せる訳ではないが、他の者が斬り込むきっかけになる。
「ちょっ……!?まだ街には人が!!」
「対策済みさ……!何のために数を揃えたと思ってんだい……!」
「妖とトバリを使って住人は救出済みです。安全地帯はありませんが、着弾地点からは避難していますよ」
聡が紫陽の霊術でクレーターとなった場所を見て思わず叫ぶ。
だが、その辺りで瓦礫に埋もれていた人達は、人型の妖やトバリによって既に助け出されていた。
「さっきも言った通り、この世界は既に現世でありながら幽世なんだ。……幽世の神として、誰がどこにいるかは、大体把握出来る」
そうこうしている内に、鈴や式姫達が“天使”達を倒しにかかる。
妖とトバリは自我がなく、実質的には紫陽による意思を持った霊術だ。
そのため、遠慮なく鈴達も妖を利用し、意識外から攻撃を繰り出していた。
神界の存在と言えど、意識外からの攻撃は共通して弱点なのか、地力の差がありつつも上手く渡り合えていた。
「それに、今この世界は死んでも死なない状態なんだ。……巻き込まれる奴らには悪いけど、容赦なくやれるってものさ!」
妖とトバリだけで抑え込んでいる神々へは、紫陽が追加攻撃を行う。
大規模な霊術が次々と構築され、そして放たれていく。
とこよのような一撃に集中した威力はないが、規模の大きい攻撃で生半可な強さの“天使”達を次々と後退させる。
「っづ……!」
……だが、そこまでやれば紫陽もタダでは済まない。
限界以上の力を行使しているため、負荷が紫陽にのしかかる。
目や口から血が零れ、足も既に踏ん張っている状態だ。
「ね、姉さん……!」
「あたしの心配は無用さね!!葉月!……本当にやらなくちゃいけない事は、見誤るんじゃないよ……!」
葉月が心配するが、紫陽はそれを切って捨てる。
負荷はあれど、死んでも死なない今の状況下なら苦しいだけだ。
決して、反動で死ぬことはない。
「ッ……」
「で、でも貴女、もうギリギリなんじゃ……」
言葉を呑み込んだ葉月の代わりに、玲菜が言う。
だが、紫陽はそれを鼻で笑った。
「ギリギリ?笑わせるんじゃないよ。そんなの、とっくのとうに超えちまってるさ。けどね、それでもあたし達は戦わなくちゃいけない。もう、逃げ場なんてないのさ」
「そんな……!」
「だからこそ!何が何でも、それこそ体が壊れようが、勝たなきゃなんないのさ!意地でも、絶対に、倒れる訳にはいかないんだよ!!」
幽世の神の矜持……なんて、立派な
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