暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第8章:拓かれる可能性
第239話「幽世の意地」
[8/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
を取らせる事で牽制する。

「うち滅ぼせ、流れ星!」

   ―――“星落とし”

 紫陽の霊力と瘴気によって形作られた星が落ちる。
 それだけで神々を倒せる訳ではないが、他の者が斬り込むきっかけになる。

「ちょっ……!?まだ街には人が!!」

「対策済みさ……!何のために数を揃えたと思ってんだい……!」

「妖とトバリを使って住人は救出済みです。安全地帯はありませんが、着弾地点からは避難していますよ」

 聡が紫陽の霊術でクレーターとなった場所を見て思わず叫ぶ。
 だが、その辺りで瓦礫に埋もれていた人達は、人型の妖やトバリによって既に助け出されていた。

「さっきも言った通り、この世界は既に現世でありながら幽世なんだ。……幽世の神として、誰がどこにいるかは、大体把握出来る」

 そうこうしている内に、鈴や式姫達が“天使”達を倒しにかかる。
 妖とトバリは自我がなく、実質的には紫陽による意思を持った霊術だ。
 そのため、遠慮なく鈴達も妖を利用し、意識外から攻撃を繰り出していた。
 神界の存在と言えど、意識外からの攻撃は共通して弱点なのか、地力の差がありつつも上手く渡り合えていた。

「それに、今この世界は死んでも死なない状態なんだ。……巻き込まれる奴らには悪いけど、容赦なくやれるってものさ!」

 妖とトバリだけで抑え込んでいる神々へは、紫陽が追加攻撃を行う。
 大規模な霊術が次々と構築され、そして放たれていく。
 とこよのような一撃に集中した威力はないが、規模の大きい攻撃で生半可な強さの“天使”達を次々と後退させる。

「っづ……!」

 ……だが、そこまでやれば紫陽もタダでは済まない。
 限界以上の力を行使しているため、負荷が紫陽にのしかかる。
 目や口から血が零れ、足も既に踏ん張っている状態だ。

「ね、姉さん……!」

「あたしの心配は無用さね!!葉月!……本当にやらなくちゃいけない事は、見誤るんじゃないよ……!」

 葉月が心配するが、紫陽はそれを切って捨てる。
 負荷はあれど、死んでも死なない今の状況下なら苦しいだけだ。
 決して、反動で死ぬことはない。

「ッ……」

「で、でも貴女、もうギリギリなんじゃ……」

 言葉を呑み込んだ葉月の代わりに、玲菜が言う。
 だが、紫陽はそれを鼻で笑った。

「ギリギリ?笑わせるんじゃないよ。そんなの、とっくのとうに超えちまってるさ。けどね、それでもあたし達は戦わなくちゃいけない。もう、逃げ場なんてないのさ」

「そんな……!」

「だからこそ!何が何でも、それこそ体が壊れようが、勝たなきゃなんないのさ!意地でも、絶対に、倒れる訳にはいかないんだよ!!」

 幽世の神の矜持……なんて、立派な
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ