五十五匹目
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私達ケットシーは九つの命を持っている。エリザはまだ一つ目を生きている。ここに連れてきている者達はもうすぐ半分の命。そして私はもう九つ目の命」
「九つの命……」
ん? どこかで聞いたような…………。
あ。
思い出した。漫画だ。
僕が転生する前、読んでいた漫画。
その漫画に確か、猫は複数の命を持つって…。
「君は、その九つ目の命が終わったらどうなるの?」
「さぁねぇ。私にもわからないよ。だって九つ目まで生きた奴を他に知らないからさ」
「どうして? 病気で死んだりしてもまだ命はあるんでしょ?」
「皆生きる事に飽いたり、何かの為に命を使ってしまうの。
私だって、私だってそうしたい時もあったわ。
でも私には管理者の使命があったからね。生きたくて生きている訳じゃないのよ。私は。
ただただ使命感で生きているだけ」
生きたくて生きている訳じゃない、か。
それは聞く人が聞けば激怒するような言葉だ。
「儘ならないなぁ。生きたい人は死んで、死にたい人は生かされて」
「見てきたような口をきくのね。貴方の周りには、死んだ人はまだ居ないと思うのだけど」
「僕が言ってるのは僕の事だよ」
あの時。僕を斬った女。
心臓が貫かれた時の、月をバックに刀振り下ろす奴の事は忘れられそうに無い。
自分で陰陽師とか名乗っていた。
≪私は陰陽師さ。君に恨みはないけど、仕事なんだ≫
僕は死にたくなかった。
死ぬという事がどういうことなのかを考えた事も無かった。
生きたいなんて思った事も無かった。
生きている事が当たり前だったから。
でも、例えそうであっても死は唐突だ。
幸い僕は転生できた。
でも、生きたくても死んでしまった人は居るだろう。
問題発生。
「な"ーぅ!」
一部の亜人種族がめっちゃ猫に威嚇されてる。
特にオーガーとかドラゴニュートとかの大型亜人に対して。
一番威嚇されてるのはドラゴニュートの女性客三人。
しかもあの真ん中ドラゴニュート、身なりや所作を見るに貴族のお嬢様っぽいし。
取り巻きっぽいドラゴニュートもかなり強そうだ。
いまは猫に逃げられ落ち込む主人を慰めるのに必死そうだが。
「バースト〜」
隣に座る猫耳美女に泣きついてみた。
「許してあげて。龍種に怯えるのは仕方ないわ」
「うー…仕方ない…。休憩中のケットシーに猫モードで出てもらおう」
「ま、それが一番ね」
マジックミラースペースから出て、店の裏のロッカールームへ向かう。
ドアを開けると、中に人の姿はない。
皆猫状態だ。
「済まない、シフ
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