第8話
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と帰還するべく歩み始める。そんな彼の背中を、ヒロキはただ見つめていた。
ーーー
翌日。
「すみません、ユナさんという少女をご存知ですか?」
「いやぁ、知らないね・・・・・」
「そうですか、ありがとうございました」
「アラタ君! ユナさんを見たっていう情報を聞いたよ!」
「ホントか? ありがとう、琴音。わざわざ手伝ってもらって」
「ううん、役に立ててるんだって思うと私も嬉しいから」
俺は琴音と共に、街ゆく人々に声を掛け続けること小一時間程で、目的を果たす。
その目的は、優奈という少女が今何処にいるかを知ることだ。 この街を余りよく知らない俺1人では途方も無い事であったため、琴音が共に探してくれた事は有難いことだった。
「ココは・・・・・」
「どうぞ、面会時間は2時間までとさせていただきます」
「ハイ、ありがとうございます」
琴音が掴んだ情報を頼りにやってきたのは、僅かながら寂れた病棟。 アラタと琴音は面会社用の吊り下げ名札を受け取り、指定された病室・・・・・『中村 優奈』とネームプレートに書かれた部屋の入口へと辿り着く。
と、何故か頬を膨らませた琴音が聞いてくる。
「ね、ねぇ。 この人と、知り合いなの?」
「え? いや、違うよ。 同僚の妹さんらしい。せっかくだし、見舞いに行こうかなって」
「・・・・・ふぅん」
納得はして貰えても、何故だか、御機嫌斜めになる琴音。 コレは後で事情を話さないとダメか、なんて思いつつ、俺は病室のドアノブを静かに開く。
「失礼・・・・・します」
白で統一され、僅かにお見舞いで添えられた花の香りが鼻をツンと突く。 そこに、人工呼吸器を付けられ、静かに寝息を立ててベッドに横たわる女性。
「この人が、ユナさん?」
「・・・・・あぁ」
覚悟はしてたが、こうして俺達の戦いに巻き込まれた人の顔を見るのは、苦しくなる。
だけど、もう背を向けないと決めたのだ。
コレは、己の背負う罪であると。
そんな感情を胸に、ここに来る前に花屋で購入した花束を、患者用のデスクへと置いた所でヘッドホンに通信が届く。 アラタはそれに耳を当てると、少しばかりオドオドした声が聞こえてくる。
『えっと、聞こえてますかね!? サキです! 怪物・・・・・じゃなかった、エリアD中央区に置いてアナザーライダーが現れました!! 現在、ジュンさんやスズナちゃん達も戦ってるのでひゃぅ!? あああすみません! とと、とにかく応援に来てください!!』
「分かった! なるべく早く向かう」
俺は途切れる通信を間もなくして、琴音に声を掛ける。
「琴音、その子の様子を頼む」
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