後編 REVENGE OF SURVIVORS
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――T-ウィルスとは比にならない威力を持つ、G-ウィルス。
アンブレラ社に属する研究員「ウィリアム・バーキン」によって生み出された、その未知のウィルスに感染し。完全に適合してしまった希少な存在である彼女こそが、タイラントの「目的」だったのである。
G-ウィルスの影響による、驚異的な再生能力。その発露を嗅ぎつけ、タイラントは「戦闘」よりも「回収」を優先しようとしているのだ。
カイル達の中に、その真相を知る者は1人もいない。が、このままではアリシアが危ない、ということだけは誰もが理解していた。
銃を持つ者達全てが、その火力を一点に集中させ、タイラントを阻止せんと抗う。だが、追い求めていた獲物を前に「本気」を出した巨漢は怯むことなく、前進を続ける。
――そして、その巨大な腕が。少女のか細い身体に、伸びる瞬間。
「はぁッ!」
丸太のように太い巨漢の腕から、鮮血が噴き出し。その脇を擦り抜けるように、人影がアリシアを攫う。
すれ違い様にタイラントを斬り裂き、アリシアを小脇に抱えながらその場を脱したのは――長い黒髪を靡かせる、一振りの「刀」を携えた日本人だった。
「ジ……ジン!?」
「随分と手こずっているな、カイル。お前らしくもない」
彼の名は、ジン・シラハマ。ラクーンシティにT-ウィルスが蔓延する直前、「銃弾を刀で斬る」という主旨のテレビ企画に出演するため、街を訪れていた日本の剣術師範だ。
ゾンビの大量発生に伴う混乱の中でカイル達と共闘し、意気投合していた彼もまた、この場に駆けつけて来たのである。
「ジン! 奴の狙いは……!」
「分かっている。この子の保護は俺に任せて、お前達は持てる物全てを撃ち放て!」
「へっ……だ、そうだ。サムライ様の仰る通り、派手にブチかましてやろうぜッ!」
「全員、一斉射撃だ! この場で一気に仕留めろッ!」
もちろん、腕を斬られた程度で立ち止まるようなタイラントではない。暴君の名を冠する巨漢はゆらりと振り返り、アリシアを抱えるジンに襲い掛かる。
だが、ジンは剣客ならではの素早さでタイラントの腕をかわし、巧みに距離を取り続けていた。そんな彼の叫びにエドウィンとメイソンが応じた瞬間、この場にいる生存者達全員が、狙いを「一点」に定める。
今こそ、決着を付ける。その目的を一つに、戦士達は引き金を引き続けていた。
「カイル、今よッ!」
「あぁッ! ――うぉぉおッ!」
仲間達の援護射撃に、タイラントは僅かながら後退し始めている。この機を逃す手はない。
M1911A1を撃ち続けるノエルの声に応じて、カイルは雄叫びと共に持てる全ての銃弾を、タイラントの巨体に撃ち込んで行った。
――その銃が似合う警官に。S.T.A.R.S.
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