後編 REVENGE OF SURVIVORS
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より勇ましい貌で愛銃を握り締めている。
「ち、ちくしょおおっ! 当たれ、当たれぇえ!」
「目を閉じるな、照準をよく見ろ。戦場では、目を背けた奴から死んでいく」
「え、縁起でもないこと言うんじゃねぇえ!」
一方、眼前で暴れ狂うタイラントの迫力に気圧されていたジョンは恐怖の余り、瞼を閉じたまま引き金を引いていた。
視覚を封じて銃を撃てば、その分だけ狙いがぶれてしまう。ユウスケは片手でSIGを撃ちながら、もう片方の腕でジョンのMSRを廃車のボンネットに押さえ付け、照準のばらつきを抑えていた。
「よし、いいぞ……狙いが安定してきた」
「うっ、うるせぇよっ!」
彼の補助もあり、ようやく徐々にタイラントという「現実」と向き合い始めたジョンは――ガールフレンドの前で格好良いところを見せて来たユウスケを睨みながらも、複雑な表情を浮かべている。
「……ユウスケの奴め、軍を抜けて何をしているのかと思えば。まさかアイツまで、ノエル達に借りがあったとはな」
それと時を同じくして、そんな彼らの様子を屋上から一瞥する者がいた。
ライアンの隣に立ち、小脇に抱えたH&KMP5を撃ち続ける「彼女」は、かつての同僚を切れ目の眼差しで射抜いている。ポニーテールに結われた艶やかな金髪を揺らし、サブマシンガンの引き金を引く絶世の美女は、その肢体の各部に包帯を巻いていた。
「ダンテス中尉、無理をなさっては傷に障りますよ」
「あぁ……だが、いつまでも寝てはいられないからな。ハワード先生、その節は世話になった」
「医師として、当然の務めです」
「彼女」――サラ・ダンテス中尉と共に屋上からの援護射撃を続けるライアンは、怪我も厭わず戦闘を続行するアメリカ海軍兵士の勇姿を見遣り、微かに笑みを零す。これほどタフな患者は流石に初めてだ、と。
「ノエル、カイル……お前達を死なせはせん!」
――非番の日を利用してラクーンシティを訪れた際に巻き込まれて以来、街を襲うゾンビ達を掻い潜り脱出を目指していた彼女は、混乱の中で蛙の様な風貌の怪物と遭遇していた。
ハンターγ、通称「フロッガー」。そう呼ばれる件の怪物との戦いで負傷し、窮地に陥っていた彼女を救ったのが、当時のカイル達だったのである。特にノエルとは、蛙型の怪物に対する嫌悪感を共有したこともあって、すぐさま意気投合していた。
そんな彼らが、あの巨漢に追い詰められている。ならば今は、正体の詮索など後回し。まずは奴を撃退し、2人を救う。
それがこの瞬間、サラが自分自身に課した最優先事項であった。下で廃車に身を隠して戦っているユウスケも、同じ考えらしく――かつて同僚だった彼らは一瞬視線を交わすだけで、互いの意図を汲み取っている。
「……サラ!」
「あぁ、行くぞユウスケ
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