前編 ATTACK OF TYRANT
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。だったら……これ以上、イタズラにゾンビを増やすようなマネはしないよな」
「あぁ……もちろんだ」
エドガーは戦いの中ですでにゾンビに噛まれ、T-ウィルスに2次感染している。その知識がなくとも、彼はとうに理解しているのだ。
もはや自分は、あの屍達の仲間になるしかないのだと。ならばもう、警官として、友として。カイルに付けられる「ケリ」は、一つしかない。
「あばよ、親友。S.T.A.R.S.以上の、ヒーローになれ」
それが、最期に残された言葉であり。カイルにとって決して違えてはならない、もう一つの「約束」となっていた。
次の瞬間には乾いた銃声と共に、血飛沫が噴き上がり。エドガーはゾンビになることなく、この事件の犠牲となった恋人の元へと旅立っていた。
「カイル……」
「……行こう、ノエル。俺達まで死ぬわけには……!?」
親友を自らの手に掛けたカイルの背に、ノエルは掛ける言葉を見つけられずにいる。
そんな彼女を勇気付けるように、エドガーの目蓋を閉じさせたカイルが勢いよく立ち上がった――その時。
後方からコンクリートが砕け散るかのような、凄まじい衝撃音が響き渡ったのである。その轟音に思わず振り返った2人は、戦慄した。
「なッ……!?」
一見すれば、暗緑色のコートを着た巨漢。だが、その眼はゾンビ達と同様に、理性の光がまるで感じられない――「怪物」の色を湛えているのである。
何より、コンクリート壁を体当たりで破るその膂力。明らかに人間ではないし、自分達に友好的な存在であるとも思えない。
その疑念を確信に変えるように――トレンチコートの巨漢は、カイル達と視線を交わした瞬間に突っ込んで来た。
「ノエルッ!」
「くッ……なんなのコイツッ!」
エドガーの死を悼む暇すらなく、戦いの幕が上がる。カイルとノエルは同時にM92FとM1911A1を構え、発砲を開始した。
――が、やはり今までのゾンビとは訳が違う。何発もの弾丸を叩き込まれながらも、トレンチコートの巨漢は怯む気配すらなく突進し続けていたのだ。
「くッ!」
「うッ……!?」
その巨躯に物を言わせた体当たりをかわし、背後に転がり込んだ2人は再び銃口を向ける。
だが、その引き金を引くよりも先に。振り向きざまに振るわれた裏拳が、彼らを容易く吹っ飛ばしてしまうのだった。
「ぐぁっ……! ノ、ノエルッ!」
「きゃあっ! だっ、大丈夫……まだ、いけるッ!」
アスファルトの上を転がりながらも、なんとか立ち上がった2人は諦めることなく銃を取る。だが、戦力の差は歴然であった。
T-103――「タイラント」。アンブレラ社によって開発された究極のB.O.W.にして、「暴君」の名に相応しい破壊力を持つ強力な
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