第七章 決戦 広島対大阪
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しょったるわあ。重かったやろ」
応芽が元気に笑いながら、カズミのリュックを背中から、半ば強引にもぎとったのである。
そのせいで自転車がカズミごと豪快に転倒して、また二人は胸倉掴んでやり合うことになるのであるが、それはそれとして。
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「おー、カズミちゃんたち、久しぶりじゃの。話は、治奈から聞いとるけえ」
店の中に入るなり、カウンターの奥にいる明木秀雄が威勢のよい声で出迎えた。
秀雄は治奈の父親であり、ここ「広島風お好み焼き あっちゃん」の店主である。
「ああ、どうもおじさん。えっと、本当にここを借りちゃっていいんですかあ? 一応こいつの一応歓迎会なんすけど一応」
昭刃和美が、一応一応連呼しながら慶賀応芽の肩を叩いている。
応芽が、鬱陶しそうに、パシリその手を払った。
「おう、今日はもともと五時半からなんでの。五時くらいまでに終わるんなら、まったく問題ないけえね」
「じゃあすみません、遠慮なく場所使わせてもらいまあす」
「おう、賑やかな環境で店の仕込みをするのも、気分が変わってええからのう」
明木秀雄は、無骨な顔と声に似合わない可愛らしい笑みを浮かべた。
「一応一応って、なんで三べんもいうんや!」
応芽が、かなり遅れたタイミングでカズミの台詞に突っ込んだ。
「え、だってそこ一番大切なとこだから」
ピクリ、と応芽の頬が引きつった。
が、すぐに小さなため息を吐いて、
「まあええわ。好かれよ思うとらんし」
「まあええなら最初から黙っとけ。こっちの耳が減る」
そんなしょうもない会話をしながら、カズミは先ほどまで背負っていた大きなリュックを開き、中身をどんどん取り出して、無造作にテーブルへと置いていく。
色々と入っているが、基本的に食べ物、飲み物、お菓子、の類である。
大鳥正香と令堂和咲も同様に、自分たちの持っていたレジ袋の中身を取り出して、テーブルへと置いていった。
「ずいぶん買うたのう。じゃけえ、みんな、あんまり食べ過ぎん方がええぞ。後で、最高のお好み焼きを焼いたるけえね」
「はい、どうも……」
と、カズミが後ろ頭に手を当てながら、応芽たちへと振り返った瞬間、飛び込んで来た映像に、
「もう食ってんのかよ!」
思わず驚き、叫んでいた。
応芽と成葉が、唐揚げの入ったフードパックを開いて、手掴みで食べていたのである。
「なかなかイケるねえ、外側がカリッとしてて。ね、ウメにゃん」
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