第七章 決戦 広島対大阪
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んやろ!」
止めたのは、応芽である。
「ほじゃけど、負けちゃったし。……親娘二人で」
振り向いた治奈は、潤みまくった涙目で微笑を浮かべながら、鼻をずずっとすすった。
「しかも、わしらのホームグラウンドで」
真似したわけでもないだろうが、秀雄も涙目で鼻をすすった。
二人のそのぶっさいくな顔に、長いため息を吐いた応芽は、ショートの髪を手のひらを当て撫で付けながら、爽やかな笑顔を見せた。
「……初めて広島風ちゅうのを食ったんやけどな、なかなかのもんやったで。特に親父さん。好みはそれぞれや思うけど、技量的にはあたしより遥かのレベルや。……ただ、あんたらなあ、負けてなるかっちゅう感情を挟み過ぎなんや。生地もそばも泣くで」
「ほ、ほいじゃあ」
秀雄のぶっさいくな鼻水まみれの顔が、ぶるぶる震えながら、さらにぶっさいくに歪んだ。
手も、ぷるぷると震えている。
隣の治奈も、おんなじような顔で、やはり身体を震わせている。
「別に勝ったとは思ってへんよ。……今度、ちゃんとした広島のお好み焼きってのを食わせてな」
「ありがとーーーー!」
治奈、父を真似たかはたまた遺伝か、歪みまくってぶっさいくになっている、鼻をだらーん垂らしたままの顔で、応芽の胸へと抱きついていた。
「ふあああああああ! 鼻かめやああああ!」
肩を掴んで引き離そうとするが、治奈はうっうっ呻きながらもがっしりしがみついており、全然離れない。
「しかしさっきの、負けてなるかという感情を挟み過ぎて、アサキのバカなんかに、バスケでボロ負けしたやつの台詞とは思えねえなあ」
ははっ、とからかい笑うカズミである。
「じゃかましい! あたしもあれで反省したんや! 大人になったんや!」
「でも、不思議です。どうして二回目の方が、美味しかったのでしょうか?」
大鳥正香が、小さいながら通る声で、そっと疑問を口に出した。
「ああ、そ、そうだよね。さっきカズミちゃんもいってたけど、同じのだったら慣れちゃいそうなのに、それがさらに美味しくなってるんだもん。びっくりしたよお」
アサキの、なんだかぽわんと、幸せそうな顔。
まださっきの味が、忘れられないのである。
「ああ、それな。お前らいう通り、続くと評価落ち気味になるやろ? せやから、少し手を加えたんや」
「どんな?」
成葉が尋ねる。
「鉄板に残ってたソースの、焦げた部分を、マヨネーズかけてさらに焦がして、具の中に混ぜ込んでみたんや。普段からこれやと、しつこくてあかんけど、すぐさまの二枚目やから、こういう味変もええかな思うてな」
「おーっ、関西人のくせに気遣いが出来てんじゃんか」
褒め、肩を叩くカズミ。
いや、褒
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