剣聖と呼ばれる訳
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れないのは嫌と言うほど理解しているからこんな事は本当は言いたくないのだが俺はどうもこのクラディールという男が好きになれない。血盟騎士団の副団長は俺とアスナの二人の筈なのに俺にはどうも敬意を払っていないような気がする…それだけならいいのだが妙な物がアスナを見る眼に混ざっている気がするのだ。
だが俺がなんと言おうとこの護衛云々についてはギルドで決めた事…俺が口出しする権利は持たない。「よろしく頼むよクラディール。」と馴染みの鍛冶屋から教わった営業スマイルで言って、アスナを引き渡した。
「…ははっ。」
十人に聞いたら十人が棒読みと答えるような口調で俺に会釈した後アスナの後ろにひっついた。
「また後でな、アスナ。」
「うん、じゃあねアリオス。」
軽く手を振ってアスナと別れた。
その背が小さくなって消えていった、あの方角は…恐らくエギルの所にでも行くつもりなのだろう。今日の任務はもう俺もアイツも達成してるからここから先はお互いにヒマな訳だ。
「愛しの彼にでも会いに行ったのかね?」
ボソッと呟いた独り言は、風に流されて消えた。
「んーっしょ。」
何時もはそれなりに忙しいこの店で、あたしは背伸びをした。
四十八層主街区リンダースで見つけた、一目でここしかない!と思って買ったこの場所、アタシの店「リズベット武具店」。がむしゃらに上げた武器作製スキルのお陰もあって、ここに店に構えてからも多くの固定客がいる。
ありがたい事だ。
だが今日は珍しくヒマだった。本当にヒマでなにかミスでもしたのかと店内をぐるぐる見回ったほどに。勿論異常なんて何一つ無かった。ホッとする半面、ならなんで来ないのと若干むくれる。
だからそのドアがバタンと開いたのに待ってました!と言う気分になってドアへ走っていったのだ。
それがいけなかった。
「邪魔するよー…うおっと!?」
「いらっしゃいませー…キャアッ!?」
相手もそんな風にあたしが出てくるとは思っていなかったのか、思いっきり激突した。
「イテテテ……どうしたんだよリズベット、今日なんかイベントでもあったっけ?」
立ち上がるって見るとドアの外にぶっ飛ばされた固定客の一人が恨めしげな眼でこちらを見ていた。
「あ、ごめーん。そんな気は無かったんだけどね。大丈夫?アリオス。」
「この位平気だよ…っと!」
この男…アリオスがこの店の固定客となったのはまだあたしが宿屋を拠点に露天販売をしていた頃だった。初めての印象は少なくともあたしは「サイテー」だった。そう面と向かって怒鳴りつけてやったこともある。今はあたしとアスナとコイツとあともう一人の四人でそこそこ仲良くやっている。そのもう一人もコイツに負けない位変な奴なのだ。
「いやー今日ぜんっぜん客が来なくてさー思わずテンション上がっちゃった
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