第四章
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「前の奴も酷かったがな」
「ルーピーとか言われてな」
「今も無責任なことばかり言ってるが」
「今の奴はもっと酷いかもな」
「自分のことしか考えてないだろ」
「いざって時何も出来ないじゃないか」
「自分が困ったら周りに怒鳴り散らすだけになるんだよ」
こうした話も伝わってきていた。
「そんな奴が首相か」
「既に外交で失敗ばかりだしな」
「これが今の政権か」
「何が日本は変わるだ」
「確かに変わったさ」
変わったことは事実だった、だがその『変化』がというのだ。
「何もかも悪くなったな」
「悪くなる一方だな」
「何から何まで」
「これじゃあどうしようもないな」
「変なことが起これば」
「その時はどうなるか」
不安を抱く者すら出て来た、そして彼等の危惧は不幸にして当たり。
大地震が起こった、その時首相はあるテロ支援国家の工作員に資金を渡す、貰っていたのではなくそうしていたことが問題になっていたが。
大地震が起こったと聞いて彼は思わず叫んだ。
「これで辞めずに済む!」
「えっ、総理何と」
「今何と言われましたか」
「俺は辞めないで済むと言ったんだ」
身内、同じ政党のしかも下の者達なので笑って本音を出した。
「そしてここで頑張ってだ」
「まさかと思いますが」
「ご自身の支持率をですか」
「それをですか」
「上げるぞ、とにかくこれは俺の天祐だ」
こう言って早速だった、事故が起こったという原発にヘリで向かった。
原発は事故への対応に必死だった、だがそこでだった。
「えっ、総理がか!?」
「はい、こっちに来られてです」
「事故の状況を視察したいとです」
「そう言われています」
「そんな状況じゃないぞ」
原発の所長は驚いて言った。
「今は」
「そうなのですが」
「ですが総理はです」
「是非にと言われて」
「それで今ヘリで」
「震災が起こってすぐだぞ」
所長はまた言った。
「今はすぐに初動の指揮じゃないのか」
「それが普通ですが」
「どうしてもということで」
「もう既にヘリに乗られています」
「今は誰かに状況を説明している状況じゃない」
所長は言い切った。
「それよりもだ」
「はい、何とかです」
「事故の被害を最低限に抑えないと」
「このままでは爆発します」
「そんな状況です」
「それなのに来られたら」
取り返しがつかないとだ、所長はわかっていた。だがこの首相は原発に来てそうして状況を聞いた。それも怒鳴り散らしながら。
これで事故への対策が遅れた、それでだった。
原発は爆発した、またそちらに向かったことで初動にも問題が出た。その為被害はかなり大きくなったが。
この輩は一旦辞めると言った、だが。
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