三十四 桜吹雪
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脳神経に流れるチャクラを己がコントロールする高度な術。
所謂、幻術をかけられていると推測したシカマルの機転により、不可解な現象から脱したナルは、実は先ほどから全く動いていなかったサクラを見据えた。
「あらら、バレちゃったか」
ぺろっと可愛らしくサクラが舌なめずりする。
だがその瞳は、まるで猫のように爛々と輝いていた。
かつて、サクラはナルを女としての魅力を始め、体力面・頭脳面等何もかも自分のほうが勝っていると考えていた。
だが次第に、ナルがどんどん心身共に成長するのを目の当たりにして、サクラの胸中には酷い焦燥感が培ってゆく。
サクラ自身はアカデミーの頃と全く変わらないのに、いつの間にか、ナルはずっと先を見ていたのだ。前へ前へと進んでいる。
その事実に愕然とし、同時に彼女は気づいた。
単なる器用貧乏なだけの自分は、大した取り得のないくノ一に過ぎないのだと。
瞬間、同じ女でありながらナルに嫉妬と羨望、そして劣等感をサクラは抱いた。
追い駆けられていたはずが何時の間にか追い越されている。その事実を認めたくは無い。
だからサクラは、『木ノ葉崩し』の際その時何故か自分を助けてくれた香燐という少女の助言を素直に聞いた。
自分の特技や取り柄を見つけるようにとの指摘を受け、サクラがまず思い浮かべたのは担当上忍たる畑カカシの意見。
幻術の才能があると言われたばかりのサクラは、すぐにその言葉に従った。
『木ノ葉崩し』以降、即座に幻術が得意な夕日紅の許へ向かい、教授してもらう。
それは木ノ葉の里を抜け、大蛇丸の許へ下っても、変わらない。
一心不乱にひたすら、サクラは幻術の修行に打ち込んだ。
その結果がこれだ。
「まぁ、サスケくんの【写輪眼】の前では敵わないけどね」
肩を竦めたサクラは、いっそ優雅な仕草で、親指を軽く噛み切った。
なにをしようとしているか理解して、ナルはシカマルとヤマトに注意を呼び掛ける。
サクラの印の結び方。
その動きに見覚えがあった。
「【口寄せの術】!!」
刹那、回廊が瓦解する。
崩壊してゆく最中、ナルは見た。
巨大な猫又の背に乗る、サクラの姿を。
ポツンと小さく灯る蝋燭。
その灯りがちらちらと照らすのは、薄暗い部屋で何かを思案する物憂げな表情の人物。
仮面の男が去った後、しばらくの間、深く思案に暮れていたサスケは、やがてス…と【写輪眼】を発動させた。
同時に、地を蹴る。
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