三十四 桜吹雪
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─ナルっ」
ナルの言葉を断ち切って、シカマルが叫ぶ。
シカマルに抱きつかれ、横へ転がったナルは、直後、先ほどまで自分がいた場所を信じられない思いで凝視した。
視界に入るのは、床に突き刺さっている銀色。
鈍い光を放つ、切っ先の鋭いクナイだった。
「悪いけどね、ナル」
ナル目掛けてクナイを投げつけたサクラは、肩にかかる桃色の三つ編みの髪をバサリと指で弾いた。
「サスケくんの傍が私の居場所なの」
蛇の腹の内側の如き回廊。
その奥の奥の部屋で、アマルと共に書類を眺めていたザクはチッと舌打ちした。
「ったく。カブトさんも面倒なこと押し付けやがって」
「火影直轄部隊暗部構成員のリストなんて滅多に見られる代物じゃないと思うけど」
「そーゆーことじゃねぇ…俺はこーゆー細々した作業が苦手なんだよ」
うんざりしているザクの手元にあるのは、カブトからアマルが受け取った封筒。
ダンゾウからの命令でサイが大蛇丸に渡した封筒の中身だ。
これでビンゴブックを作るように、という大蛇丸の指示はカブトが受けたものだが、それはそのままアマルに託された。
そうして先ほど新たに仲間となるらしいサイという人物をアジトの部屋に案内し終わったカブトにより、ザクもビンゴブック作りに駆り出されたのだ。
「だいたい、さっきまでアイツがいたんじゃないのかよ?」
「ああ。春野サクラのことか」
ザクの問いに、アマルは肩を竦めてみせた。
「彼女なら、サスケを捜しに行ったよ」
「チッ…どいつもこいつもサスケサスケって」
うちはサスケに敵対心を燃やしているザクに、アマルは苦笑する。
彼らは知らない。
サスケを捜しに行ったサクラが現在、アジトに潜入してきた木ノ葉の忍びと対峙している事など。
「さ、サクラちゃん…」
「ナル…貴女は変わらないわね」
昔と同じく、真っ直ぐなナル。
だが自分よりも遥かに強く、成長してゆく彼女に劣等感を抱いていたサクラは、苦々しげに唇を歪める。
三つ編みにした桃色の長い髪。
深緑の瞳の色は変わらないのに、その眼の奥の冷たさに、ナルは息を呑む。
動揺するナルの隣で、ヤマトは冷静に印を結んだ。
木遁の術を発動させる間際、突き刺さっているクナイから、しゅううう…っと煙が立ち上る。
刹那、白煙が回廊中に一気に満ちた。
「煙玉か…!!」
サクラが投げたのはクナイだけではない。
煙玉と共にクナイを投げつけ、煙玉にクナイを突き刺したのだ。
床に突き刺さっているのみだと
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