三十四 桜吹雪
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「鼠がうるさいと思ったら…」
蛇の鱗を思わせる回廊。
その奥に佇む、桃色の髪の少女は三つ編みに結った髪をなびかせて、ナル達の前に立ちはだかった。
「勝手に入り込んだ鼠は、猫に噛み殺されても文句は言えないわよね?」
呆然と立ち竦み、言葉が出ないナルの代わりに、シカマルとヤマトが一歩前へ進み出る。
その様子を、彼女は冷ややかな視線で眺めた。
「さ、サクラちゃん…」
ナルの呼びかけに、春野サクラは桃色の長い髪をサラッと揺らして微笑んだ。
だがその微笑は、かつての彼女からは程遠い、冷たいものだった。
「先ほど大蛇丸と戦って、地形をクレーターのようにしたのは君だよ。ナル」
崩壊した橋や抉れた地面も、ナルによるものだと語るヤマトの発言。
それに衝撃を受けるも、ナルは教えてくれたヤマトに感謝していた。
九尾の力に頼った力はナルの本当の実力ではない。それはいずれ、ナル自身を苦しめることになる。
ナルの強さの源は恐るべき九尾の力に耐えうるナル自身のチャクラの力だと、ヤマトは告げた。
九尾化したナルを監視していたヤマトは、ナル自身が九尾の力に頼らなくても十分強いと察していた。
だからこそ、あえて真実を告げたのだ。たとえナル自身を傷つけることになっても。
故に、ナルは九尾の眼ではなく、己自身の眼で彼女を見つけたのだ。
だがそれは、ナルが思い描いていた感動の再会などではなかった。
大蛇丸が根城にしているアジトを突き止め、そこに潜入した波風ナル・奈良シカマル・ヤマト。
そこで、木ノ葉の里を抜けたうちはサスケと春野サクラを捜し求めてきた彼らはようやく、その内のひとりと再会した。
ずっと追い駆け続けていた元同じ七班のひとり。
仲の良かった春野サクラを前にして、ナルは感動で打ち震える。
だが、待ち望んでいた再会に純粋に喜んでいたのは、しかしながらナルだけだった。
「サクラちゃん…やっと会えた!早く木ノ葉へ帰ろうってばよっ」
「なに言ってるの?」
サクラへゆっくり近づこうとしたナルは、彼女の冷ややかな視線に動揺した。
だがめげずに、明るく声をかける。
しかしながらそれは隣で見ているシカマルにとって痛々しい笑顔だった。
「あの…サクラちゃん…髪、伸ばしたんだってばね!サクラちゃんは綺麗な髪だから短いのも長いのも似合うってばよ!」
「そう?ありがとう」
ナルの称賛に、ニコッとサクラが笑う。
かつての彼女の面影が垣間見えてホッとしたナルは、更に一歩、足を進めた。
「サクラちゃん…あのさ。木ノ葉でみんな、待ってるってばよ?だから早く、」
「───
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