第八十一話 朝倉合戦その七
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「わかったな」
「承知しました」
「それならばです」
「今はです」
「手を打っていきましょう」
「その様にしていきましょうぞ」
「是非な」
元親は実際にだった、手に入れた朝倉城に兵を入れ支城全てにもそうして西を伺う足掛かりの様に見せてだった。
これはと見た岡豊城や朝倉城の近くの国人達それも小さな者達から声をかけていった。そうしてでだった。
彼等が一度で降ればそれで受け入れそうでなければ二度三度と人を送り三顧の礼の素振りも見せた。
すると小さな国人達はあらかた長曾我部家に降り長曾我部家の勢力は土佐で揺るがないものとなった。その状況を見てだった。
元親は家臣達に会心の声で話した。
「時は来たな」
「本山城ですな」
「本山家の本貫ですな」
「あの城を攻めますな」
「いよいよ」
「そうする、そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「よいな」
「はい、そしてですな」
「いよいよ本山家を降し」
「先々代からの因縁を終わらますな」
「遂に」
「祖父殿、父上にじゃ」
二人の墓に参ってというのだ。
「お伝えする」
「そうされますな」
「その為にもですな」
「ここは、ですな」
「手を打たれますな」
「そうするとしよう」
こう言ってだ、そのうえでだった。
元親は本山城を攻める戦の用意を命じた、彼にとっても長曾我部家にとってもまさに運命の時が近付いていた。
このことを命じた夜だった、元親は城の中の館の縁側で酒を飲んでいたがその時にだった。
満月を見た、そうして共に飲んでいた弟達に話した。
「奇麗な月じゃのう」
「全くですな」
「今宵の月は」
「何といいますか」
「大きく光もよく」
「実に奇麗ですな」
「まことに」
弟達もこう口々に応えた。
「日の光もいいですが」
「月の光もいいものです」
「実に」
「優しい光で」
「こうした時に観ますと」
「心が癒されます」
「全くじゃ、こうして見ていてじゃ」
実際にとだ、元親は話した。
「わしもじゃ」
「実にですな」
「お気持ちがですな」
「落ち着かれていますな」
「左様ですな」
「実にな」
実際にというのだ。
「そうした心持じゃ」
「左様ですな」
「ではです」
「今宵はこうしてお供させて頂きます」
「僭越ながら」
「頼む、しかし我等が争っている間に」
人がとだ、元親はこうも言った。
「月はその戦なぞ知らぬ様にな」
「奇麗なものですな」
「この世とは思えぬ優しき光を放ち」
「そのうえで」
「我等にもその姿を見せておりますな」
「何でもじゃ」
元親は酒を飲みつつ弟達に話した。
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