第7話
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土ぼこりが、風に乗って宙に舞う。視界がボヤける中で、眼の前の少女は右耳に付けられたイヤリングを触るや、俺とオーラ以外の時間が完全に静止したかのように止まる。
風も、空を覆う雲も、俺がオーラと居ることに気づき駆け寄ってきたレジスタンスの面々達も、何もかも。
そんな時の止まった空間で、オーラは俺の周りをグルグルと歩きながら、口を開く。
「この前のアナザービルドとの闘い、見事だったわ」
「そりゃどうも・・・・・で、何しに来た」
素っ気なく返す。にしても、俺達アナザーライダーを作り出したタイムジャッカー様がた、何故かが一介のアナザーライダーにアプローチを取ってくるのか。
「気に入ったのよ。 私、強いオトコは好きよ」
「・・・・・」
「そんな顔しないで。 今日は、アナタに滅茶苦茶良い知らせを教えに来たの」
オーラはハイブーツをコツコツと鳴らし、俺の目の前に立ち、その整った顔を覗かせて甘い声でこう囁く。
「アナタ、私のモノになる気はない?」
「・・・・・は?」
「正直、強い王とか決めるとか私にはどうでも良いと思ってた。 でも、アナタが私のモノになってくれるって言うんだったら、私はアナタを全力でバックアップするわ」
「・・・・・タイムジャッカー達が、アナザーライダーに手を貸すのはルール違反なんじゃないのか?」
そうね、と言ってオーラは俺から顔を離してそっぽを向く。 が、彼女はすぐさま俺の左頬を自身の左手で触れてくる。
「バレない程度には誤魔化せるわ。・・・・・アナタが欲するなら、私の身体だって差し出すわ」
オーラは空いた右手で、俺の左ももを摩りアプローチを強めてくる。
・・・・・あぁ、成程。タイムジャッカーはどうやら本当に曲者揃いらしい。 スウォルツが底知れぬ闇を持ち、ウールが愉快犯であるなら。 この女は恐らく・・・・・
そして、俺はオーラの甘く蕩ける様な誘いを──
彼女を突き飛ばす事で、拒絶した。
「っ!?」
断る事も、ましてや突き飛ばされることも予想してなかったのか。オーラはなされるがままに地面に尻餅を付いて、睨みつけながら狼狽する。
「何をするの!?」
「お前は信じられない。 なんとなくな」
・・・・・そんな事を言われても俺も良く分からない。強いて言えば、ただの直感だ。 この女の甘い蜜を受け入れれば、己の人格は諸共失い、ただ彼女の為に動く傀儡の人形となった俺自身。 そんな姿が 視えただけだ。
色欲の使い。 男を陥落させ、ひたすら己の欲を満たす厄介な女。 この女に気を許してはいけない。
「・・・・・そう。 なら」
オーラは立ち上がるや先程ま
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