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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
戦姫絶唱シンフォギアG
第1楽章〜黒の装者達〜
第3節「ガングニールの乙女」
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『はい、既に事態は収拾。しかしウェル博士は逃亡。そして、ソロモンの杖もまた……』
「そうか……。分かった。急ぎこちらに帰投してくれ」

友里からの報告を受け、弦十郎は腕組みする。

「ウェル博士はF.I.S.に所属する研究者。それがこの様な行動に出るとは……一度、米国側に問い合わせる必要がありそうだな」

弦十郎は職員らに指示を出すと、緒川へと通信を繋いだ。

ff

『QUEENS of MUSIC』のステージ裏にて。本番を待つ翼に聞こえないよう、緒川は声を潜めて通信していた。

「──状況は分かりました。それでは、翼さんを……」
『無用だ。ノイズの襲撃と聞けば、今日のステージを放り出しかねない』
「そうですね。では、そちらにお任せします」

「司令からは一体何を?」

緒川が端末を仕舞う瞬間を見計らい、翼は緒川へと声をかける。

緒川は翼の方を振り返ると、外した眼鏡を胸ポケットに仕舞いながら微笑んだ。

「今日のステージを全うしてほしい、と」
「はぁ……」

それを聞いた翼は溜息を一つ吐くと、緒川をジト目で見ながら近寄り、先程眼鏡を仕舞った彼の胸ポケットを指さしながら言った。

「眼鏡を外したという事は、マネージャーモードの緒川さんではないという事です」
「あっ……」
「自分の癖くらい覚えておかないと、敵に足元を掬われ──」
「お時間そろそろでーす!お願いしまーす!」
「はい!今行きます!……あ」

翼からの小言は、スタッフからの呼び出しに遮られて中断される。

「傷付いた人の心を癒すのも、翼さんの大切な務めです。頑張ってください」

緒川に満面の笑顔でそう言われてしまっては敵わない。
誤魔化しではない。翼の歌に関して、緒川はとても誠実だ。

それを誰より分かっているからこそ、緒川のこの顔に翼はとても弱い。

「不承不承ながらも了承しましょう。詳しい事は、後で聞かせてもらいます」

そう言って翼は、衣装の上から羽織っていたパーカーを脱ぎ、特設ステージへと向かって行く。

緒川はそれを静かに見送ると、翼から受け取ったパーカーを楽屋へと持って行くのであった。

ff

『Stand on hallowed ground; reflect inseide. So many questions remain.──』

ライブ会場から、そう離れていない立体駐車場内。

特殊コンテナ車両の車内にて、車椅子に乗った壮年の女性は何かを待ち侘びるような様子で、会場から生中継されているライブの映像を見ていた。

映っているのはマリア・カデンツァヴナ・イヴ。
歌っているのは彼女のヒットソング、『Dark Oblivion』だ。

車内は蛍光色のモニターが幾つ
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