第95話 賊に身を落とした者の末路
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どうして布で隠している」
私は率直な感想を北郷にぶつけました。
「どうして・・・・・・、か、隠しているだと!」
北郷は私の言い方が癇に障ったのか、目を血走らせて激昂しました。
「お前の義妹、司馬季達が俺様の目をえぐり出したんだろうが!」
北郷は興奮しながら、人質の子供の首を二の腕で首を絞めました。
子供は苦しそうに呻きました。
「子供に乱暴を働くな」
私は咄嗟に彼に言いました。
「くくっ、お前さ。こんな汚らしい形をしたガキがそんなに大事なのか?」
彼は私の言葉に反応して、優越感に満ちた表情をしました。
「子供に罪はないだろう。それに、司馬季達がお前の右目をえぐり出したとはどういうことだ?」
私は真悠が北郷に行ったことを詳しく知りたく尋ねました。
「知らないなら教えてやる。あの女は俺を殺してお前に投降しようとした義勇兵を殺したのさ。その上、俺を逃がす条件に俺の右目をえぐり出しやがった。どれだけの痛みだったかお前に分かるか? 俺は絶対にあの時の恨みを忘れねえぞ!」
彼は興奮し怒りに内震えていました。
「そうか・・・・・・。だが、仮にそれが事実であろうと、お前に情状酌量はない。お前は殺人未遂とはいえ、督郵を半殺しにした上、暴行を加えようとした。その上、逃亡中に女を暴行し、殺しただろう。こんな真似を行った以上、お前が死ななければ治まりがつかない」
私は真悠が北郷と逃亡兵に行った所行を耳にして心が動揺しましたが、平静を装い冷静な対応をしました。
真悠・・・・・・、お前は何て事をしているんだ!
「じゃあ、お前の義妹はどうなんだ! あの女だって、俺を逃がしただろうが!」
彼は私の言葉に腹を立てて叫びました。
「心配しなくても司馬季達には罪を償って貰う。だが・・・・・・、その前にお前が罪を償え」
私は怜悧な視線を北郷に向け、濃密な殺気を放ちました。
「来るんじゃねぇ――――――! お前、分かってんのか! コイツがどうなってもいいのか?」
彼は私の殺気に触れ、震える声で喚きながら、子供の首に剣を添わせました。
子供は恐怖で何も言えずにいました。
「これが最後通告だ。その子を大人しく渡せ」
私は感情の篭らない声で彼に言いました。
「お前・・・・・・、頭が可笑しいんじゃないか・・・・・・?」
私の要求に彼は顔色が青ざめています。
私は彼の言葉を無視して、洛陽を出る時に姉上に貰った家宝の短剣を抜き放ち、北郷に突きつけました。
「はぁ? はははは――――――、そんな短剣で何をするってんだ。ははははは、傑作だぜ!」
彼は私の挙動に一瞬ビクリとしましたが、私が懐から短剣を抜くと高笑いをしました。
私
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