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水の国の王は転生者
第五十六話 波を掻き分けて
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酔いつぶれてしまった。

「あら、酔いつぶれてしまった……すまないがセバスチャン、義姉上を部屋まで運んで上げてくれないか?」

「ウィ、殿下」

「すまないな」

 こうして、酔ったエレオノールは、セバスチャンに運ばれていった。
 一人残されたマクシミリアンは、エレオノールが残した飲みかけのグラスを手に取ると、自分のグラス注ぎ、リキュールのウィスキー割りにして飲み干した





                      ☆        ☆        ☆





 数日してベルギカ号の修理は終わり。連絡係の風竜も戻ってきた。
 再び出発したベルギカ号は、数日掛けてアルビオン大陸の北方を迂回すると、今度は進路を西南西に取った。

 ベルギカ号が、アトランティウム洋を横断している頃、マクシミリアンは連絡員が持ってきた手紙の返事を読んで退屈を紛らわしていた。
 手紙は、妻のカトレアの返事と、妹のアンリエッタの手紙だった。

 アンリエッタの手紙は、ミミズが這い回ったような下手な字で書かれていたが、マクシミリアンは微笑ましく思えた。一方のカトレアの手紙はというと、字も綺麗で魔法学院での日々が書かれていて、女子寮ではミシェルと部屋が隣同士になり、よく一緒に行動するようになったそうだ。
 カトレアは、手紙の他に手編みのマフラーを同封して送ってきた。
 カトレアのピンクブロンドの髪に良く似た淡いピンクのマフラーは、不恰好ながらも気持ちの篭もっていて、マクシミリアンは大いに喜び、何かにつけてマフラーを巻いて艦内を出歩くようになった。

 ……朝、マクシミリアンはベルギカ号の大きな揺れで目を覚ました。
 ベッドから這い出すと、最早、日課となったカトレアの手編みマフラーにキスをした。
 これは、マクシミリアンの朝一番の願掛(がんか)けの様なものだった。

 だが、今日に限って妙に気分が悪い。

「うぐうっ!?」

 波のうねりに合わせて腹の中を掻き回す様な感覚になる。

「よ、酔った……」

 ヴァールダムを出航しておよそ一週間。それほど気にならない程度の波だったが、とうとう胃袋をシェイクする程の洋上特有の高い波がやって来た。

「だ、誰か……」

 枕元に置いてある呼び鈴を鳴らすと、十秒とせずにセバスチャンがノックと共に入ってきた。

「お目覚めでござございますか? 殿下」

「……うっぷ」

 セバスチャンが部屋に入ると、ベッドから転げ落ち床の上で大の字になったマクシミリアンが居た。

「これは!? 殿下、いかが為さいましたか!?」

「ふ、船酔い……桶か何かを……」

「しばしお待ちを!」

 セバスチャンは、急ぎ部屋を出て行った。
 幸い
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