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レーヴァティン
第百四十七話 捕虜と外交その八
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「暫くはこっちからは攻めないでいこうな」
「そうするのね」
「地中湖沿岸部の掌握はするさ」
「そしてその後で」
「騎士団領か王国か」
「黒湖沿岸部もあるね」
 留奈が言ってきた。
「そちらを攻めてもいいし」
「ワルシャワを首都にした東の王国を攻めてもいいさ」
「けれどなのね」
「ああ、今騎士団領とはな」
「積極的に戦わないわね」
「幸い騎士団領はいつも王国と争ってるだろ」
 このこともだ、久志は話した。
「それならな」
「こちらに仕掛けてきても」
「本気じゃないさ、山脈や川を使ってな」
「防いでいくのね」
「今のところはな」
 そうするというのだ。
「騎士団領については」
「そしてその間に」
「俺達は地中湖沿岸部をな」
 諸都市群を含めてというのだ。
「掌握していくな」
「それがこれからの戦略ね」
「ああ、しかしな」
 久志はこうも言った。
「騎士団領って結構ばらばらだよな」
「多くの騎士団に領主がいて」
 順一が話してきた。
「それぞれの権限が強く」
「それでか」
「騎士団長が国を治めていますが」
 それでもというのだ。
「その権限は弱いです」
「領邦国家か」
「はい」
 まさにとだ、順一は久志に答えた。
「そうした国です」
「それがかろうじて国としてやっていってるんだな」
「各騎士団も領主もよく騎士団長に逆らいますが」
 それでもというのだ。
「一応はです」
「一つの国か」
「そして西の王国、東の王国とです」
「戦ってるんだな」
「左様です」
「国としてまとまっていないうえに敵は二つか」
 そう聞いてだ、久志は言った。
「じゃあこっちにはまず、だな」
「仕掛けてこないですね」
「これ以上敵を増やすとかな」
 それこそというのだ。
「国家戦略としてアウトだろ」
「まさにそうですね」
「そんなことする馬鹿もそうそういないだろ」
「そしてでござる」
 今度は進太が言ってきた。
「騎士団長は聡明な方でござる」
「国をまとめてるその人もか」
「だからこそまとまりのない国を何とかまとめていて」
 そしてというのだ。
「戦っています」
「そうなんだな」
「政もわかっている方でござる」
「ならだな」
「我々にこれまで手を出していないでござるな」
「王国とはいつも戦っていてもな」
 このことはよく聞いていた、他国の情報も常に集めていてそれで各国の情勢を把握しているからだ。これも政である。
「こっちにはちょっかいかけてないな」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「これからもでござる」
「王国、東の王国と戦ってもな」
「我々帝国にはでござる」
「手を出してこないか」
「ほぼ確実に」
「だといいけれどな、ただな」 

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