第二章
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「もう治らないし壊疽を起こしてるっていうから」
「壊疽って」
「切らないと駄目らしいから」
「切るのね」
「それしかないって言われたよ」
獣医にとだ、光一は母に話した。
「だから」
「手術で切ってもらうのね」
「そうしてもらうから」
「それは仕方ないわね」
「手術代も出すから」
「そうするの?けれど」
「貯金はあるから」
働いていた頃に貯めたそれがというのだ。
「だからそれを使うから」
「大丈夫なの?まだ就職決まってないでしょ」
「いいよ、俺が面倒見るって決めたから」
だからだとだ、光一は母に答えた。
「そうするよ」
「そうなのね」
「じゃあ明日にでもまた獣医さん行って来るよ」
「それじゃあね」
「足切ってもまだ何かとあるし」
犬、ツバサと名付けたその犬の世話がというのだ。こう言ってだった。
光一はツバサに手術をさせてそして彼のリハビリにも付き合った、三本足でもちゃんと歩ける様な散歩をしていった。
犬の世話の仕方について本やサイトで勉強し特に障害を持つ犬のことを調べた、そうしていくと共に。
再就職の活動をはじめたがこちらは程なくだった。
「八条警備になの」
「中途採用で採用されたよ」
母に夕食の時に話した、妹はまだ仕事から帰っておらず母と二人で食べている。足元にはツバサがいて自分のご飯と水を口にしている。
「そうなったよ」
「よかったわね」
「ああ、それも正社員だし」
「頑張ってね」
「あの世界的な企業グループの傘下企業だから」
八条警備、この会社はというのだ。
「まず潰れないから」
「じゃあ頑張っていけば」
「やっていけるよ、ただツバサのことは」
光一は彼を見つつ母にさらに話した。
「これからも面倒見るから」
「就職してもなのね」
「そうするよ、というかそうしないと」
「そうしないと?」
「元気が出ないから」
だからだというのだ。
「やっていくよ」
「そうするのね」
「お金も出すしご飯もお水も散歩も」
そうしたことをというのだ。
「やっていくから」
「これまで通り」
「そうしていくから」
だからだというのだ。
「それでいいよな」
「いいわ、ただね」
「ただ?」
「あんたかなり喋る様になったわね」
母は息子に対してここでこう言った。
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