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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第25話:彼は踏み出さない
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え今の自分の状態を再認識してしまった。
そう、颯人に壁ドンされていると言う現状を、だ。
──こ、これが所謂壁ドンって奴か? 何? 何で急にこんな事を? どうした颯人?──
奏は多少の事であれば軽く流せる程度の神経の太さは持っていたが、流石にフィクションの中だけの出来事だと思っていた壁ドンを、それも意中の相手である颯人にされたとなると冷静ではいられない。
どこか非現実的な出来事にいろいろな考えが浮かんでは霧散し、奏は指先一つ動かせなくなっていた。
奏の内心を知ってか知らずか、颯人は通り側からは死角となるズボンの右ポケットから一つのウィザードリングを取り出して奏に付け替えてもらった。
「奏、悪いんだが右手の指輪をこいつに変えてくれねぇか?」
「ふぇっ!? あ、あぁ……」
颯人の声に現実に引き戻された奏に渡されたのはコネクトウィザードリングだった。
何処か落ち着きを失いつつあった奏に指輪を付け替えてもらった颯人は、即座に魔法を発動させる。
〈コネクト、プリーズ〉
魔法を発動させると、颯人は通りから死角となる場所に魔法陣を展開しそこに右手を突っ込んだ。物の数秒で引っ張り出した右手には、見慣れない携帯電話が握られている。
当然奏のではないし、颯人が持っている物とも違う。
不審な携帯電話に首を傾げている奏に対し、颯人はジッと何処かを見つめていたが、少しすると小さく息を吐きながら壁から手を放した。
「は、颯人?」
「あっぶねぇ〜、今パパラッチ居たぞ」
「えっ!?」
思ってもみなかった言葉に奏が急いで路地から通りを見ると、1人の男性が逃げるようにその場を去っていく光景を目にした。
恐らくあの男が颯人の言うパパラッチなのだろう。
トップアーティストであるツヴァイウィングのスキャンダルを狙う者は多いが、それを差し引いても奏はパパラッチによく狙われていた。
理由は2年前の生放送番組での啖呵である。
あれが良くも悪くも注目を集め奏に敵を作ってしまい、それ以降彼女のスキャンダルを狙おうとするパパラッチは頻繁に現れていたのだ。
今回は確かに危なかっただろう。
あの人気アーティストコンビの奏が、男と2人っきりで居ると言うのだからこれ以上のスキャンダルはない。あれこれ脚色すれば大きな注目を集めること間違いなしだ。
例えその結果奏の歌手としての活動に影響が出たとしても、パパラッチ本人には微塵も影響しないのでパパラッチ本人は気楽なものだった。
尤も、今回は颯人と言うパパラッチにとってのイレギュラーであり天敵が居たので意味の無い事だったが。
「よ、よく分かったな?」
「あれはどちらかと言えば分かり易い方だったけどな。ここ来る途中から
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