暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第25話:彼は踏み出さない
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一方の餃子は、ハネが付いたシンプルな焼き餃子だ。オーソドックスな組み合わせながら、油と麺とスープが放つ暴力的な食欲を誘う香りが2人の鼻を刺激する。
店員が離れていくのを尻目に早速ラーメンに箸を伸ばす2人。麺を箸で摘まんでスープを絡ませながら啜ると、程よい塩気と腰のある麺の味が口の中に広がった。
メンマを口に運べばしっかり締まった歯応えと麺とは異なる味が舌を楽しませ、チャーシューや煮卵は味以上にその重量で腹を満たす。
そしてたっぷり盛られたモヤシの淡泊な味が舌を休ませ、スープを啜れば麺と一緒に口にした時とは異なる出汁の利いた旨味が心を満たした。
その素晴らしいハーモニーを現すなら、この一言以外にあり得ない。
「ん〜、美味い!」
「だろ? 気に入ると思ってたよ」
「あぁ、こりゃいいや! 今度は翼達も誘ってみよう!」
「お、いいね〜。翼ちゃんこういう店にも縁無さそうだから、きっと新鮮な反応を見せてくれるんじゃねぇか?」
「違いない。どうせなら夜ちょっと遅い時間に誘ってみよう」
「何で?」
「その時間に食うラーメンの背徳感も一緒に味合わせるのさ」
奏はそれを実行に移した時の事を考えてちょいとばかし悪い笑みを浮かべる。
翼は体型維持の事を考えて、夜9時以降は食事を摂らないようにしているのだ。ましてやラーメンの様な塩分と油分が豊富な物など絶対口にしないだろう。
だが同時に、その時間に食べるラーメンが殊更に美味いのもまた事実だった。奏の言う通り、背徳感によるものもあるのだろう。
それを味合わせるのも、彼女にとっては良い刺激になるかもしれない。
その時の翼の反応を想像して奏は何処か楽し気に笑みを浮かべ、それを見て颯人も満足げに笑みを浮かべると餃子を箸で掴んで酢とラー油を垂らした醤油に付け口に放り込むのだった。
***
それから数分後、食事を終えた2人は満足気に店を出た。奏は満足そうに膨れた腹を擦り、颯人はそんな奏を微笑みながら眺めていた。
「いや〜、食った食った!」
「ホントにな。まさか替え玉まで頼むとは思わなかったぞ?」
「そう言う颯人だって、追加でチャーハン頼んだろうが」
「三分の一はお前も食ったけどな」
軽口を叩き合いながら路地から出る2人。
その際颯人は軽く周囲を見渡し────────突然奏の手を取ると路地に引っ張り彼女を壁に押し付け通り側の壁に手をついた。
俗に言う壁ドンだ。
「ぉわっ!? な、何──」
「しーっ…………」
完全に予想外の彼の行動に抗議しようとした奏だったが、唇に人差し指を当てられ黙らされる。
かなり真剣な様子だったので抗議を飲み込み黙る奏だったが、黙った事で頭が冷
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