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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第25話:彼は踏み出さない
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文の品を持ってくる時2人の姿を見失う事は間違ってもない。

 今回は颯人が素早く周囲を確認して誰の注目も受けていないことを確認したので、ここから先の会話を他人に聞かれることは間違ってもない。颯人は安心して続きを奏に促した。

「これでよし。んで? 藪から棒にどうしたんだよ?」
「どうしたって…………分かるだろ? アタシの所為で、颯人に余計な負担を掛けまくってるって話だよ」

 奏の言葉に、颯人は少し考え彼女の言わんとしている事を理解した。要は颯人の無茶の責任が自分にあると言いたいのだ。

 それを察した颯人は、俯きがちな奏の額に軽くデコピンを喰らわせた。

「んッ!? 何──」
「な〜にが余計な負担だよ、この程度屁でもねぇっての。そっちこそ、余計な心配してんじゃねぇよ」
「何暢気な事言ってんだよッ!? 颯人お前、自分がどれだけ命知らずなことやってきたか分かってるのか?」
「んじゃぁ逆に聞くけどよ? お前の知る明星 颯人って奴は、そんなあっさりと死んじまうような柔い男なのか?」
「それ、は────!? そ、そう言うんじゃ、無いけど…………」
「じゃ、そう言う事で良いじゃねぇかよ。安心しろって、俺はそう簡単にくたばったりはしねぇからよ」

 あまりにも堂々として且つ自信に溢れた様子を見せる颯人に言葉を詰まらせる奏。

 不安を抑えきれないのか苦悩した様子を見せ始めた彼女に、颯人は溜め息を一つ吐くと彼女の右手を両手で包み込んだ。
 突然の行動に颯人の手で包まれた右手を注目する奏。彼女が見ている前で彼が両手を開くと、そこには菊の花の様に花弁が多い一輪の花が彼女の手に握られていた。

「これは────?」
「アスターステラホワイト。花言葉は、『私を信じてください』さ」
「信じる…………」
「約束、守ったろ? もう少しくらいは信じてくれてもいいんじゃないか?」

 颯人の言葉…………そして手の中の花に、奏はそれ以上悩むことを止めた。

 颯人の言う通りだ、彼は2年前の約束を守り奏の所へ戻ってきてくれた。そうでなくとも、彼はこう言う真面目な所で交わした約束を破ったことはただの一度もない。

 ならば信じよう。彼はそれに値する男なのだから。

 奏はそう思い直し、手の中のアスターステラホワイトに向けて軽く笑みを浮かべた。

 彼女の笑みに颯人ももう大丈夫と安堵の溜め息を吐く。それと同時に、2人が注文したAセット2つが運ばれてきた。

「お待たせしました。こちらAセット2つになります」
「お! 来た来た」
「おぉ……」

 2人の前に並べられた2つの丼と皿。

 丼には麺が見えない濃さの色をしたスープが張られ、その上にモヤシやメンマ、2切れのチャーシューに煮卵が乗ったラーメンが入っている。
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