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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第25話:彼は踏み出さない
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うぜ」
颯人の言葉に笑みを浮かべながら彼の後に続く奏。その際誰も居らず、且つ颯人は先導していたのはある意味で奏にとって幸運だったのだろう。
この時奏が明らかにウキウキした顔をしながら颯人の後について行っていたのだが、その事に気付く者は誰も居なかったのだから。
***
「お、ここだここだ」
奏を連れて颯人がやって来たのは、大きな通りから少し外れたところに建っていた1軒のラーメン屋だった。一見すると繁盛しているようには見えず、奏は少し不安を覚えた。
当然、奏の口からは不満が漏れる。
「ここ? 何かあんまり繁盛してるようには見えないんだけど?」
「見た目はな。だが味は俺が保証するよ。それにこう見えて意外と客入ってるんだぜ。俗に言う知る人ぞ知る名店って奴だな」
颯人の言葉に奏は改めて店を見る。
見た所確かに寂れている訳ではないが、かと言ってやはり繁盛しているようには見えない。
何しろ2人の他にこの店に入ろうとしている者は誰も居ないのだ。しかも外から店の中が見えない為、今客がどれくらい入っているのか分からないときた。
正直、不安しかない。美味い店か、それともがっかり店か。
「ま、失望はさせねぇよ。ほら、早く入ろうぜ」
「あッ!? お、おいッ!?」
覚悟が決まらずなかなか足を踏み出せない奏を、颯人がその手を引いて店内へと引き摺りこむ。
2人が店内に入ると、厨房に居た店員が良く通る声で声を掛けてきた。
「いらっしゃーい。お好きな席どうぞー」
「へぇ────」
店内に入って、奏は少し驚いた。
まず店内は思っていた以上に綺麗で片付いている。下手なチェーン店より清潔かもしれない。
そして店内に居る客だが、こちらも想像していた以上に居る。
満席とはいかないが、見渡せばどこかに必ず客の姿が確認できる程度には繁盛しているらしい。もしかすると、もう少し早い時間に来ていればもっと座席は埋まっていたのかもしれない。
奏が店内の様子を観察していると、颯人が軽く手招きして手頃な席に彼女を誘導した。
因みにだが、今奏は颯人のドレスアップウィザードリングで服装を変えている為、店員は勿論他の客にも正体はバレていない。
かなり地味で大人し目な服装で髪型も変えているので、彼女の事を良く知る者でもない限りは彼女がツヴァイウィングの天羽 奏である事に気付く事は無いだろう。ましてや、食事に意識を割いているなら尚更だ。
昼下がりの適度に空いたラーメン屋の雰囲気に、奏がホッと一息ついていると颯人がメニュー表を彼女に見せてきた。
「ほれ、好きなの頼みな。俺はもう決めてあるから」
「ん〜、そうだなぁ…………」
奏
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