『母親』
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物心ついた時には既に崩壊しきっていた空間に居た。
当然のように食べるものもなく、当然のように抱き締められたこともなく、母の温もりなんて知らなかった。
こんな母親に育てられた記憶すらない。
兄が育ててくれていたからだろう。
それも3歳迄だろう。
それからはどうでもよくなったんだろう。
そのうち、母親というものがどれだけの存在なのか、本当に必要なのか考えたりもした。
好きにはなれなかった。
そして子を宿し産むと決めた時、絶対何があっても母親のような母親にはならないと強く決意した。
親にならないと親の気持ちは解らないと言うけど、母親の気持ちなんて解る筈もなかった。
ただ、どれだけ愛されてなかったのかが身に染みただけだった。
何があっても同じようなこと出来る筈がない。
愛せてる証なのかな、この子を...
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