ターン23 かくて語り部は神を称える
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ゃあ、隠居した爺さんに負けるわけにはいかないんでな。アタシのターン、ドロー!」
先ほどのターンで、すでに仕込みは済んでいる。そして現在の不確定要素は、実は老人に残された手札1枚のみ。実は見かけほど、彼女は追い込まれたわけではない。確かに厄介ではあるが決して突破できないほどではない、それでいて一見すると絶望感溢れる布陣。
そしてそれは、先ほど彼女の牛頭鬼を防いだ墓穴の指名者にしてもそうだ。墓地に妖刀−不知火が送られたのはお互いに見ているのだから、あのターンに戦闘ダメージを与えるのは諦めてでもそちらを狙い打っておけばライフこそ残るものの結果的に今よりも状況は悪くなっていた。しかし、寿はそれをしなかった。
「いいでしょう、かかって来てください」
彼女らの現役時代からこの暗黙の流れをイカサマ、馴れ合いと批判する動きもあった。しかし彼女たちは断じて手を抜いているわけではなく、結局のところ観客だって完膚なきまでの封殺や、相手に何もさせない一方的な勝利の押し付けが見たくて金を払っているわけではないのだ。相手の反撃の余地を残しつつ、かといって馴れ合いでは終わらせず締める所は逃さず締め、己の白星は自力で獲りに行く。このあたりの絶妙なバランスは、観客の前で大立ち回りを長年魅せてきたベテランならではの技といえるだろう。
「墓地に存在する妖刀−不知火の効果を発動。このカードとアタシの墓地のアンデット族、レベル4の不知火の武士を除外し、その合計と等しいレベルを持つアンデット族シンクロモンスター1体をエクストラから特殊召喚する。戦場切り込む妖の太刀よ、一刀の下に輪廻を刻め!逢魔シンクロ、レベル6!刀神−不知火!」
刀神−不知火 攻2500
「出ました、糸巻選手の不知火、その最大の強みにして根幹!テーマ単位で行われる墓地リソースのみでのシンクロ召喚によって、手札を一切使わずにシンクロモンスターを呼び出しました!」
破壊の光を浴びて地に打ち捨てられたはずの妖刀がふわりと浮き上がり、人型の炎がその柄を握ると和装の剣士の姿へと変化した。顕現した剣豪が鋭いまなざしで頭上のデミウルギアへと居合の構えをとると、それに反応したかのようにデミウルギアが明滅する。するとそんな光の信号に誘われでもしたかのように、大地を割って巨大な金属の冠のような物体がせり上がってくる。
「ならば相手がエクストラデッキからモンスターを特殊召喚したことにより、デミウルギアの更なる効果を発動。デッキから星遺物モンスター1体をリクルートします。星々より降りかかる苦難と決意の標、星遺物−『星冠』!」
星遺物−星冠 守2000
「星冠……エクストラから出たモンスターの効果発動時、リリースするとそれを無効にして破壊できるん
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