暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン23 かくて語り部は神を称える
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びとした動作。それはとりもなおさず、その老人の実力を物語る。元プロの名は、決して伊達ではないのだ。
 ある程度拍手が収まったタイミングを見計らい、改めて清明がマイクに口を近づける。すでに事前のくじ引きにより、対戦カードは決まっている。

「そんな寿氏の対戦相手は……皆さんご存じデュエルポリス、家紋町の守護神にして死霊の女番長。『赤髪の夜叉』、糸巻太夫さんです!」

 巻き起こった拍手は、先ほどよりも気持ち大きいか。そこのあたりはやはりホームの強み、ということなのだろう。今しがた降りてきたばかりの壇上に再び登ろうとした糸巻だったが、その直前にふと気になって清明の方を向いた。

「しかしアタシはともかくとして、よく寿の爺さんのことなんて知ってたな」
「あー、今の?七宝寺さんのとこで予習しといたのよ」

 なるほどな、と納得する。あの爺さんなら、焼き討ちを逃れた当時の雑誌やなんかを保管していてもおかしくはない。今の口上も、あらかじめそのデュエリスト特集あたりで得た知識を繋ぎ合わせたものだろう。

「まずかった?さすがに映像までは残ってなかったから、今一つ不安なのよね」
「いや、その調子で頼む」

 やや不安げな背中をバンと叩いて安心させると、改めてステージの上に立ち老人と向かい合う。

「久しぶりですね、こうして舞台に立たせていただくのは」
「ああ、爺さんは引退組だっけか。悪いな、わざわざ呼び出しちまって」

 お互いに10年以上の年月を経ての久々の再会ではあるが、その言葉に遠慮はない。そしてこのデュエルを通じ、もしかつての同僚であったこの老人こそが爆破テロの片棒を担いでいたことが判明したとしても……彼女の対応に、迷いは生じない。軽い口調の裏に隠れた抜き身の刃のような彼女の本気を感じ取ったのか、老人の眉がピクリと動く。

「……本気でいくぜ、爺さん。終わってから鈍ってたなんて言い訳は聞きたくないからな?」
「おや。私とて腐ってもプロデュエリストと呼ばれた身、余計な気遣いは不要ですよ」

 その言葉は単に彼女の気合を察知しての戦士としてのものなのか、はたまた自分がテロリストであることを暗に認めたうえで彼女を挑発しているのか。判別はつかなかったし、すぐにそれ以上考えるのを止めた。無理に言葉の裏まで読み取ろうとするよりも、カードに聞く方がよほど手っ取り早い。それに、その方がずっとアタシ好みだ。

「「デュエル!」」

 糸巻は嘘は嫌いだ。本気と宣言した以上は本気を出すし、大体デッキもそれに合わせてくれる。

「先攻はアタシだ、牛頭鬼を召喚。そしてフィールド魔法……生あるものなど絶え果てて、死体が死体を喰らう土地。アタシの領土に案内しよう、アンデットワールド、発動!」

 牛頭鬼 攻1700

 荒ぶる
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