ターン23 かくて語り部は神を称える
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馬が、じわじわと神の力を前に押し込まれていく。
だが。
「突っ込んできたのがデミウルギアなら、そのまま返り討ちにできたんだがな。でもまあ十分だ、トラップ発動!」
「ダメージステップで?コンバットトリック……それも、ステータス上昇系ですか」
オベリスクで上から押さえつける、その判断自体は決して間違っていたわけではない。リリースされたデミウルギアらの3体で一斉に攻め込むという選択肢とは、どちらも一長一短の関係でしかなかった。ただ寿は、そのどちらも正解だったはずの選択肢での読みを間違えただけだ。それは現役から退いていたゆえのブランクなのか、それとも『考古学者』寿神助のデュエリストとしての限界なのか。いずれにせよ、糸巻はそこを突く。
「バージェストマ・エルドニアの効果で、炎神の攻撃力はこのターンの間だけ500アップする。迎え撃て、不知火流奥義・蓬莱斬!」
オベリスクの巨神兵 攻4000(破壊)→炎神−不知火 攻3500→4000(破壊)
爆発的に伸びた炎の刀身はこの日2度にわたり神を討ち、しかしその代償として振り下ろされた拳は最後まで勢いを減じることなくその目的を果たす。神の名を持つ2体の相殺により久しぶりに開けた視界は、なぜだかやたらとだだっ広く見えた。
「……オベリスクまで倒されたとあっては、もはや打つ手はありませんね。ターンエンドです」
「そうか。なら終わりにするぜ、爺さん」
もはや彼女に、カードを引く必要すらなかった。これまでの墓地リソースですでに勝敗は決しており、お互いにそれを見逃すような愚は侵さない。
「墓地から馬頭鬼の効果を発動、このカードを除外してアタシの墓地のユニゾンビを蘇生。ユニゾンビの効果で自身を対象にその効果を発動、デッキから2枚目の馬頭鬼を墓地に送りレベルを1上げる。そしてこの馬頭鬼も同じく効果を発動して、炎神をもう1度現世へと呼び戻すぜ」
ユニゾンビ 攻1300 ☆3→4
炎神−不知火 攻3500
「久しぶりに戦えて楽しかったぜ、爺さん。それに安心した。アンタは間違いなく、ふざけたこと抜かすテロリストなんかじゃないってのがこのデュエルで伝わってきたからな。バトルだ、ユニゾンビで攻撃」
ユニゾンビ 攻1300→寿(直接攻撃)
寿 LP4000→2700
「これでラストだ。不知火流奥義……蓬莱斬」
炎神が騎乗状態のままその妖刀を天高く掲げ集中すると、これまでの静かに、しかし激しく燃え盛る業火とは違う色とりどりの炎がその刀身を中心に燃え広がる。その姿は本人の白装束も相まってそれ自体がまさしく1本の樹……白銀の根、黄金の茎、そして白玉の実を持つとされる伝承の存在、蓬莱の玉の枝のごとし。
そして、その静かに吹き上がる炎が振り下ろされた。
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