ターン23 かくて語り部は神を称える
[12/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
えられない。
そういった問題の大部分は、彼が今引いたカードならば無視できる。反面戦術の柔軟性は大きく失われ、読み間違えていた場合のリスクもこのカードを出した場合の方が大きい。
出すべきか、出さざるべきか。迷った末に寿は、ちらりと客席へと視線を向けた。いったいこの膠着状態からどのように戦況が動くのか、固唾を呑んで見つめている人々の顔が見える。予想は裏切り、期待は裏切るな……この言葉を最初に口にしたのは、いったい誰だったろうか。彼はプロデュエリスト、エンターテイナーの代名詞。迷いは、消えた。
「この一撃で終わらせましょう。星杯の神子イヴ、星遺物−『星冠』、星神器デミウルギアの3体のモンスターをすべてリリース!」
「何いっ!?」
「な、なんと寿選手、3500もの攻撃力を誇るデミウルギアを捨ててまで、さらなるモンスターの展開を選んだ!……って、モンスター3体リリースって、まさか……!」
思わず素の反応が出た清明の驚愕の声を背後に、3体ものモンスターが一斉に消えていく。そして降臨するのは、デミウルギアに負けず劣らずの巨体を持つ更なる神の偉容だった。
「その者、降臨せしむれば、灼熱の疾風大地に吹き荒れ、生きとし生ける者すべて屍とならん。オベリスクの巨神兵よ、今こそ降臨せよ!」
オベリスクの巨神兵 攻4000
「オベリスク……まさかこんなところで見ることになるとはねえ。人生わかんないもんだね、いやまったく」
「……時に、あちらの彼はなぜあそこまで感動しているのかね?オベリスクはそう珍しいカードでもないはずだが」
「アタシも正直、アイツの反応ポイントはよく分かんねえんだよなあ。この間なんて、なんかストレージにぶち込まれてたネオス見て腰抜かしそうになってたし。まあいつものことだから、爺さんもスルーしてやってくれ」
すっかり実況も忘れてしみじみと頷く清明に視線をやりながら、ひそひそ声で寿が問いかける。しかし問われた側の糸巻も、その疑問には答えようもない。彼のいた世界におけるカードの価値はこの世界のそれとは大きく異なり、世界中に1枚しか存在しないカードなんてものもざらにある。その前提条件は、いまだ共有されていない。
「まあいい。カード効果の対象にならないオベリスクならば、バージェストマに入るような罠はほぼ無視できる。攻撃してもダメージはわずか500、しかし今はそれだけあれば十分だ、そうだろう?」
「さて、な」
「バトルだ。オベリスクで炎神に攻撃、ゴッド・ハンド・クラッシャー!」
おもむろに右腕を振りかぶった神が、大地を砕くほどの勢いでその拳を叩きつける。再び刀に炎を纏わせてそれを真っ向から受け止める炎神……しかしデミウルギアのそれを上回る膂力を前には奮闘虚しく、少しずつその腕が、大地を踏みしめて堪える炎の
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ