第五十五話 ドゥカーバンクの戦い・後編その2
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、終わりました」
「ありがとうアニエス。これを取っておいてくれ」
そう言って秘薬の瓶をアニエスに手渡した。
「……これは?」
「嫌なモノを舐めただろう? うがい用の秘薬さ」
「いえ、私はその様な事は……」
「まあまあ、取っておけって」
そう言って、秘薬を返そうとするアニエスの手に無理矢理捻じ込んだ。
「あっ」
「それじゃ、僕は行くよ。アニエスのお陰でトリステインは助かる」
それだけ言って、マクシミリアンは逃げるようにして去った。
アニエスが頑張ってくれたというのに、いささか冷たいのでは? と、マクシミリアンも十分に理解していたが、妻がいるにも関わらず、アニエスにときめいてしまった自分が許せなかったからだ。
(オレって多情なのかも……)
マクシミリアンの本心はカトレア一筋だが、この性質がトリステイン王家の血の宿命なのか、それとも呪いなのか……この後も様々な女性関係はマクシミリアンを悩ませる事になる。
☆ ☆ ☆
ガウンから動きやすい服に着替えたマクシミリアンは、颯爽とベルギカ号から飛び降りた。
「さ、寒っ!」
だが、眼下の大海原は『王』の精霊魔法に寄って、氷の大地と化していた。気温はマイナス50度は下回っているだろう。
風雪はこの海域では考えられないほど吹雪き、マクシミリアンは氷の大地へと降りていった。
氷の大地へ降り立つと、何処からとも無く声が聞こえてきた。
『待っていたぞ精霊殺し』
「!」
マクシミリアンは戦闘体勢を取った。
周辺を警戒するが、謎の声は全方位360度から響いてきて、声の主が何処にいるか分からない。
『王』は精霊の力を使いテレパシーに似た能力で、マクシミリアンに話しかけていた。
『お前にたどり着くまで、全ての物を氷に変える積りだったが手間が省けた』
「それは良かったな……一つ聞きたい。さっき言った精霊殺しとは何だ?」
『お前の事だ。お前の目から出る光は精霊を死なせる。お前はこの世に存在してはいけないのだ』
「なるほど……合点がいった」
マクシミリアンは、自身の破壊光線が精霊魔法に対し効果的である事を確信した。
『そして、多くの家臣の敵も取らせてもらう』
「お、家臣の事を想うなんて、暴君じゃなく、意外と名君なのか」
『減らず口を、すぐにでもその口を氷漬けにしてやろう』
「オレとしても、さっさと終わらせて旅の続きがしたいんだ」
『お前を氷漬けにした暁には、海底深く沈め、二度と蘇らぬ様にしてやるぞ、精霊殺し! 』
「馬鹿が、人
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