第五十五話 ドゥカーバンクの戦い・後編その2
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「幸い、死者は出ていませんが、重傷者が5人ほど……」
「そうか、後で特製の秘薬を作ろう」
「兵も喜ぶでしょう。それと、もう一つ報告がございます」
「なにか?」
「あの海獣は、先住魔法を使います。我々の攻撃は悉く跳ね返されてしまいました」
ド・ローテルは先の戦闘の詳細を語った。
「先住魔法か、う〜ん」
「このままでは埒が明きません。撤退を開始しますが宜しいですね?」
ド・ローテルは、撤退する事をマクシミリアンに伝えた。
あくまで指揮官は、ド・ローテルだからだ。
「その心配は無いよ。あの海獣はもうすぐ僕達の言いなりになる」
「それはどういう事でしょうか?」
「詳細は言えないが、海獣から脱出する際に『仕掛け』を施したんだ」
血液に変化させたビット達が、脳に到達すればマクシミリアンの勝利だ。
「……そうですか、敵の攻撃範囲外へ退避し、仕掛けの効果が現れるまで観察に切り替えます」
「任せ……いや待て」
マクシミリアンが『王』の方を見ると、そこには『王』の姿は無く巨大な氷の島が在った。
「これは……」
氷の島は見る見るうちに大きくなり、3リーグを越す程の大きさに成長していた。
「艦長!」
仕官が大慌てで、ド・ローテルへ報告に来た。
「どうした?」
「艦の底が凍りついています!」
「何だと?」
余りの寒さに空中のベルギカ号まで影響を受けていた。
「確かにこの寒さを異常だぞ?」
「殿下、ガウンだけでは寒いでしょう、何か羽織るものを持ってきます」
セバスチャンが、船室に戻っていった。
他の水兵達も寒そうに身を震わせている。
「アニエスは寒くないか?」
「大丈夫です」
マクシミリアンはアニエスを気遣った。そこに、別の仕官が報告に来た。
「艦長、報告が!」
「今度は何だ?」
「機関室より報告、急激な気温の低下で蒸気機関が不調に陥ったとのことです!」
「何にぃ?」
ド・ローテルは、驚きの声を上げた。
(この気温の低下で、海獣の血流が滞っているのかも)
そうなれば、血液に変化したウォーター・ビットは、血流が滞る事で脳に届く事は無く魔力切れを起こしマクシミリアンの『仕込み』も不発に終わる可能性が高かった。
マクシミリアンの予想通り、既にウォーター・ビットは魔力切れを起こし、ただの水に戻ってしまっていた。
そして何より……
「あの海獣をどうにかしなければ、僕達の旅もここで終わりだ」
「何か策が御有りで?」
「ある事はある……再びロケット砲の用意と、二、三分程時間をくれ」
そう言ってマクシミリアン
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