第五十五話 ドゥカーバンクの戦い・後編その2
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になったと思ったら、氷の鎧は更に厚みを増し、『王』を中心に巨大な氷の塊になった。
『何千年、何万年掛かろうとも、お前を氷付けにしてやる』
『王』の周りは、真冬の北極圏並みの気温に下がり海すらも凍っていく。
この冷気は、やがて陸にも波及しハルケギニアは氷に包まれるであろう。
思わぬ所から、ハルケギニアに滅亡の危機が迫っていた。
☆ ☆ ☆
海へと落下するアニエスを救う為、マクシミリアンは飛ぶ。
「あと少しだ、間に合え!」
その時、落下するアニエスと目が合った。
驚いた顔をしたアニエスに、マクシミリアンは手を伸ばした。
「うおおっ!」
間一髪、海面に叩きつけられる寸での所で、アニエスを抱きとめた。
「ギリギリセーフ!」
「あ、ああ……」
呆けた顔のアニエスに、コツンと軽く頭突きをした。両手が塞がっていた為、頬をなでるなど簡単なコミュニケーションを取る事が出来なかったからだ。
「痛っ、ありがとう……ございます」
「気にするな。とにかくアニエスが無事でよかった」
間一髪、助けられたアニエスだったが、太ももに妙な感触を覚えた。
「この感触は……?」
アニエスが太ももに視線を移すと、マクシミリアンが全裸だった事に気が付いた。
しかも、マクシミリアンのシンボルが、アニエスの太ももにベッタリと触れていた。
「え、ええぇぇ〜〜〜〜!?」
「どうした!? 敵の攻撃か?」
「いえ、その、あの……足が……」
「足?」
マクシミリアンも、ようやく自分が全裸だった事に気付いた。
「一度、ベルギカ号に帰ろう……よっと」
マクシミリアンは、アニエスをお姫様抱っこに変えて、上空のベルギカ号へと昇っていった。
「ちょ、離して下さい恥ずかしいです!」
「こら動くな、落としてしまうだろ!」
マクシミリアンと、顔を真っ赤にしたアニエスがベルギカ号の甲板に降り立つと、水兵達が歓声をあげ、ド・ローテルが駆け寄ってきた。
「殿下、ご無事でしたか」
「艦長、心配を掛けたような」
「誰か、殿下に着る物を」
暫くして、執事のセバスチャンがガウンを持ってきた。
「あの、下ろして下さい」
公衆の面前で、お姫様抱っこされるのが恥ずかしくなったのか、アニエスは下ろすよう言った。
「ああ、悪かった」
アニエスを下ろすと、セバスチャンが目にも留まらぬ早さでガウンを着せ、マクシミリアンは全裸から解放された。
「……さて、一息つきたい所だが戦闘中だ、被害はどれくらい出た?」
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